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強毒性インフルエンザ対策の練り直しを

2009年5月22日 (金)

 新型インフルエンザ(ブタ由来インフルエンザA/H1N1)は、大阪、神戸などで一気に感染者が増加し、感染範囲も拡大している。国内での感染者は計163人(19日午前1時現在)に達し、さらに増加することが予想され
る。

 その一方で、新型インフルエンザは、弱毒性で感染能力も従来の季節性インフルエンザと同程度と見られている。従って、強毒性の鳥インフルエンザ(H5N1)を想定した対策から、新型インフルエンザに合った対策に切り替える方針が打ち出された。強毒性の鳥インフルエンザ対策の行動計画をそのまま継続し続ければ、都市機能が完全に麻痺してしまうのも一つの理由となっている。

 強毒性の鳥インフルエンザを想定した政府の対策行動計画では、今回の新型インフルエンザの国内感染状況は、既に蔓延期の第3段階に当たる。だが、その病原性などが考慮され、現在も対策は国内発生早期の第2段階にとどめられている。また、軽い症状の患者を隔離することで病室不足を招く事態も発生しており、対策内容についても緩和が避けて通れない状況に陥った。実際、高齢者や乳幼児、基礎疾患のある患者以外は自宅療養を認めるなど、より柔軟な対応が求められた。さらに、それまでの水際対策から、感染拡大防止対策に重点を移行する方針も示された。

 ある専門家は、今回の新型インフルエンザウイルスについて、「既存の予防ワクチンのH1とタイプが異なるため、交差免疫がないので感染拡大する可能性は高い」と指摘する。

 また、海外渡航歴のない関西の高校生に集団感染した理由を、「ウイルスが感染していても発熱や咳、喉の痛みといった症状が出現していない、不明性感染者によるものではないか」と推測する。

 「ゴールデンウィーク中に海外に出かけて,新型インフルエンザに罹患した不明性感染者が、症状が出現しないために水際対策(サーモグラフィー)をすり抜け、街を歩き回り、それによりばら撒かれたウイルスによって、高校生が感染した」と考えるのが妥当ではないかという。

 無症状のキャリアは、ノロウイルスなどでは珍しくない。ノロウイルスに感染した無症状キャリアの料理人が調理した食物を食べて、ノロウイルスによる下痢の症状が出現したという症例はよく聞かれる。

 だが、インフルエンザにおける不明性感染者は珍しく、そこに今回の新型インフルエンザ感染拡大の落とし穴があったといえるだろう。

 新型インフルエンザについては、▽なぜ、高校生に感染患者が多いのか▽なぜ感染した高校生の父兄に患者が少ないのか▽予防ワクチン接種者と非接種者における罹患率の差――など、今後、分析が必要な課題が多い。

 感染拡大のスピードの早さと規模の大きさも含め、今回の経験を糧として、強毒性のインフルエンザにも十分対応できるように、もう一度、対策行動計画を練り直す必要があるだろう。




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