米食品医薬品局(FDA)は12月13日、12歳以上の中等症から重症のアトピー性皮膚炎の治療薬としてGalderma社のNemluvio(一般名ネモリズマブ)を承認した。今回の承認は、外用療法で十分にコントロールできない場合に、局所コルチコステロイド(TCS)と局所カルシニューリン阻害薬(TCI)の一方または両方と併用するものである。
Nemluvioは、アトピー性皮膚炎において痒みを促進し、炎症や表皮のバリア機能障害に関与するインターロイキン-31(IL-31)受容体αを標的とするモノクローナル抗体として初めて承認された。
今回の承認は、48週間にわたる2つの第3相プラセボ対照ランダム化二重盲検比較試験(ARCADIA 1試験およびARCADIA 2試験)の結果に基づいている。対象者は、両試験ともに、12歳以上で、痒みを伴い、TCSが十分に奏効しない中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者1,728人。このうち、4週間おきにNemluvio30mg(ベースラインの負荷用量60mg)を皮下投与する群に1,142人(ARCADIA 1試験620人、ARCADIA 2試験522人)、プラセボを投与する群に586人(同321人、同265人)が、2対1の割合で割り付けられた。両群に、基礎治療として、TCSと必要に応じてTCIを併用する治療(TCS-TCI)も行われた。
その結果、16週目時点で、Nemluvio群ではプラセボ群と比較して主要評価項目であるInvestigator’s Global Assessment(IGA)による評価での治療成功率(0点〔皮膚病変消失〕または1点〔皮膚病変ほぼ消失〕で、ベースラインから2点以上改善)を達成した者の割合が統計学的に有意に高かった(ARCADIA 1試験:36%対25%、調整後パーセンテージ差11.5%、97.5%信頼区間〔CI〕4.7~18.3、P=0.0003、ARCADIA 2試験:38%対26%、同12.2%、4.6~19.8、P=0.0006)。
同じく主要評価項目とした16週目の時点でEASI(Eczema Area and Severity Index)のベースラインから75%以上の改善(EASI-75)を達成した者の割合も、Nemluvio群でプラセボ群よりも有意に高かった(ARCADIA 1試験:44%対29%、調整後パーセンテージ差14.9%、97.5%CI 7.8~22.0、P<0.0001、ARCADIA 2試験:42%対30%、同12.5%、4.5〜20.3、P=0.0006)。
また、主要な副次評価項目は全て達成され、1週目という早い段階で痒みと睡眠障害に統計学的に有意な改善が認められた。全体として、Nemluvioは忍容性が高く、安全性プロファイルはNemluvio群、プラセボ群ともに同様であった。
ARCADIA試験の治験責任医師である米ジョージ・ワシントン大学のJonathan Silverberg氏は、「利用可能な治療選択肢があるにもかかわらず、アトピー性皮膚炎は世界中で大きな影響を与え続けている。患者は強い痒みと皮膚病変の再発に悩まされているだけでなく、睡眠障害、疼痛、不安、抑うつなどの関連症状を抱えている可能性もある。私は、やっかいな痒みや病変から解放されたいと願っているアトピー性皮膚炎の患者に、Nemluvioという治療選択肢を提供できることを楽しみにしている」と、リリースでコメントした。(HealthDay News 2024年12月18日)
(参考情報)
https://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/daf/index.cfm?event=overview.process&ApplNo=761391
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(24)01203-0/abstract