米食品医薬品局(FDA)は11月20日、成人の中等度から重症の化膿性汗腺炎(HS)の治療薬としてUCB社のBimzelx(一般名bimekizumab-bkzx)を承認した。Bimzelxは、インターロイキン17A(IL-17A)に加えてIL-17Fを選択的に阻害するように設計された最初で唯一の承認薬で、米国におけるBimzelxの5番目の適応症となる。
HSは、痛みを伴う慢性的かつ再発性の炎症性皮膚免疫疾患で、腋窩や臀部、鼠径部などの間擦部に生じる結節、膿瘍、排膿を伴う瘻孔を主な症状とする。また、HSは激しい疼痛や再発を繰り返すことが多いため、患者の生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼすという。
今回の承認は、中等度から重症の化膿性汗腺炎を有する成人509人を対象とした、2件の第3相ランダム化比較試験(BE HEARD I試験およびBE HEARD II試験)のデータに裏付けられている。対象者は、Bimzelx(320mg)を2週間ごとに皮下注射する群、同薬を16週目までは2週間ごとに投与し、それ以降は4週間ごとに投与する群、同薬を4週間ごとに投与する群、および16週目まではプラセボを投与し、それ以降は2週間ごとにBimzelx(320mg)を投与する群(いずれも48週目まで)に、2対2対2対1の割合でランダムに割り付けられた。主要評価項目は、治療に対する50%以上の臨床反応(HiSCR50)とし、16週目において、膿瘍および炎症性結節の総数がベースラインから50%以上減少し、かつ、膿瘍または排膿性瘻孔数の増加がない状態と定義した。
その結果、両試験において、2週間ごとにBimzelxを投与した群では、プラセボを投与した群と比較して有意に高い反応率を示した。HiSCR50を達成した患者の割合は、BE HEARD I試験では、Bimzelx群で48%、プラセボ群で29%(オッズ比〔OR〕2.23、97.5%信頼区間〔CI〕1.16〜4.31、P=0.0060)、BE HEARD II試験では、Bimzelx群で52%、プラセボ群で32%であった(同2.29、1.22~4.29、P=0.0032)。
また、BE HEARD II試験では、4週間ごとにBimzelxを投与した群でもHiSCR50が達成された(Bimzelx群54%、プラセボ群32%、OR 2.42、97.5%CI 1.22~4.80、P=0.0038)。奏効は48週目まで維持または増加した。さらに、副次評価項目である16週時のHiSCR75(膿瘍および炎症性結節の総数がベースラインから75%以上減少し、かつ膿瘍数または排膿性瘻孔数に増加がない状態と定義)を達成した患者の割合においても、Bimzelxはプラセボと比較して臨床的に有意な改善が認められた。臨床効果は48週目まで持続し、新たな安全性シグナルは報告されなかった。
両試験の治験責任医師である米ボストンBeth Israel Deaconess Medical CenterのAlexa B. Kimball氏は、「中等度から重症のHSに対するBimzelxの承認は、いまだに治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズが大きく、現在利用可能な治療選択肢が限られていることを考えると歓迎すべきことだ」とリリースでコメントした。(HealthDay News 2024年11月25日)
(参考情報)
https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2024/761151s010lbl.pdf
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(24)00101-6/abstract