米食品医薬品局(FDA)は11月4日、成人の酒さの炎症性病変(丘疹および膿疱)治療薬としてJourney Medical社のEmrosi(一般名ミノサイクリン塩酸塩)を承認した。同薬は、1日1回経口投与の徐放性カプセル40mgとして、2025年第1四半期(4~6月)後半あるいは第2四半期(7~9月)前半に発売される予定だ。
酒さは慢性的で再発を繰り返す炎症性皮膚疾患であり、顔面にざ瘡(にきび)に似た炎症性病変(丘疹や膿疱)、紅斑、毛細血管拡張を引き起こす。National Rosacea Society(全米酒さ協会)によると、同疾患は米国で約1600万人に影響を及ぼしているとのことだ。
今回の承認は、成⼈を対象とした2件の第3相多施設共同ランダム化⼆重盲検試験(MVOR-1試験、MVOR-2試験)に基づいている。両試験では、中等度以上の丘疹膿疱型酒さを有する対象者合計653人(平均年齢49歳)が、最⻑16週間にわたり、Emrosi40mgを投与する群、標準治療薬であるドキシサイクリン40mgを投与する群、プラセボを投与する群にランダムに割り付けられた。
主要評価項目は、両試験とも、第16週目時点の治療成功率および総炎症性病変数のベースラインからの絶対的な変化量とした。治療成功率は、治験担当医師による総合評価(Investigator’s Global Assessment;IGA)のスコアが「0(消失)」また「1(ほぼ消失)」で、ベースラインのスコアから2段階以上の改善が認められた場合と定義した。
MVOR-1試験での治療成功率は、Emrosi群で65%、ドキシサイクリン群で46%、プラセボ群で31%であり、Emrosi群の治療成功率は、プラセボ群と比べて33%(95%信頼区間20~46%)、ドキシサイクリン群と比べて18%(同5~31%)高く、有意な改善が認められた。MVOR-2試験における治療成功率についても同様に、Emrosi群で有意な改善が認められた。
また、MVOR-1試験での炎症性病変数の絶対的な変化量は、Emrosi群で-20.6個、ドキシサイクリン群で-15.6個、プラセボ群で-11.4個であり、Emrosi群ではプラセボ群と比べて−9.3個(95%信頼区間−11.6〜−6.9)、ドキシサイクリン群と比べて−5.1個(同−7.2〜−2.9)病変が少なく、有意な改善が認められた。MVOR-2試験での炎症性病変総数の変化量についても、Emrosi群で有意な改善が認められた。なお、安全性に関する重大な問題は認められなかった。
Journey Medical社の共同創業者であり社長兼CEOのClaude Maraoui氏は、「酒さは治療が困難な皮膚疾患だが、第3相臨床試験の良好な結果から、Emrosiはこの疾患の治療において最も優れた経口薬になる可能性がある。当社の経験豊富な皮膚科専門の営業チームは現在、発売を成功させ、Emrosiを酒さ治療の新たな標準治療薬として確立するための準備を進めている」と、Journey Medical社のリリースでコメントした。(HealthDay News 2024年11月12日)
Source
https://www.healthday.com/healthpro-news/skin-health/fda-approves-emrosi-for-rosacea-in-adults
https://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/daf/index.cfm?event=overview.process&ApplNo=219015
https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2024/219015s000lbl.pdf