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米食品医薬品局(FDA)は、2月27日、屋内塵性ダニ(house dust mite:HDM)を原因とするアレルギー性鼻炎の治療薬であるOdactraの適応を、結膜炎の有無にかかわらず5~11歳の小児に拡大した。Odactraはアレルゲン免疫療法の薬で、舌下投与される。
今回の承認は、これまでに発表された小児におけるHDMアレルゲン免疫療法の安全性と有効性を検討した臨床試験としては最大規模の第3相試験のデータに基づいている。同試験では、喘息の病歴の有無にかかわらず、医師の診断により診断されたHDMアレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎(AR/C)が1年以上続き、症状緩和薬が奏功しない5~11歳の小児1,460人が、Odactra投与群(729人)とプラセボ投与群(731人)に割り付けられた。有効性に関する主要評価項目は、約1年間の治療期間のうち、最後の8週間における1日当たりの総合鼻症状薬物スコア(TCRS;毎日の鼻炎症状スコアと毎日の投薬スコアを組み合わせた指標)の平均値とした。
その結果、Odactra投与群とプラセボ投与群のTCRS平均値の絶対差は1.0点であり、有意な差が認められた。このスコア差は、Odactra投与群ではプラセボ投与群に比べてTCRSが22%(95%信頼区間12.0~31.1)減少したことに相当する。世界アレルギー機構は、症状スコアや毎日の投薬使用を含む臨床評価項目において、実薬とプラセボとの差が20%以上である場合に、臨床的に意義のある効果と見なすことを提唱している。
一方、安全性プロファイルは、成人、若者、若年者に対する確立されたものと一致していた。Odactra投与群のうち4人が、口腔内や耳の痒み、口腔内の灼熱感やヒリヒリ感、唇の腫れ、腹痛などの治療に関連した重篤な有害事象を経験した。しかし、治療に関連したアナフィラキシーやアナフィラキシー症状を緩和する注射薬であるエピネフリンによる治療を必要とする有害事象は報告されなかった。
米ジョージ・ワシントン大学のアレルギー専門医兼免疫学者であるJackie Eghrari-Sabet氏は、「Odactraの小児適応は、医師や保護者に若年患者を治療する新たな選択肢を提供するという点で重要である。同薬は、舌下投与の利便性に加え、アレルギー症状を軽減し、対症療法薬への依存を減らすことが示されている」と、ALK社のリリースで述べた。
なお、Odactraの拡大承認はALK社に付与された。(HealthDay News 2025年3月5日)
More Information
https://www.fda.gov/vaccines-blood-biologics/allergenics/odactra
https://www.thelancet.com/journals/lanepe/article/PIIS2666-7762(24)00305-3/fulltext