アボットメディカルジャパン合同会社は3月11日、非弁膜症性心房細動による脳卒中のリスクを低減する左心耳閉鎖術のデバイス「Amulet左心耳閉鎖システム」(アミュレット)を発売した。
非弁膜性心房細動は脳卒中を引き起こす重大な危険因子で、心房細動患者では抗凝固剤(OAC)の使用により脳卒中を予防することが重要となる。左心耳閉鎖術は、非弁膜症性心房細動による血栓が形成される左心耳を閉鎖することによって、脳卒中のリスクが低減されると共に、OACが中止できる可能性がある。
左心耳閉鎖術は開心術ではなく、鼠径部から静脈にカテーテルを挿入し閉鎖デバイスを留置する低侵襲の手術で、アミュレットは新規の左心耳閉塞デバイスで、この手術を必要とする患者の新たな選択肢となる。
アミュレットの大きな特徴は、独自の2層構造であること。左心耳の解剖学的構造は多様だが、アミュレットはその2層構造によって様々な形状・サイズの左心耳に対応しており、従来のデバイス技術では閉鎖が困難だった左心耳に対しも閉鎖術を行うことが可能となる。
デバイスはニチノールワイヤーを編んで作られている。ニチノールは形状記憶金属であり、デバイスが留置時には「記憶された」形状に戻り、その形状は左心耳の開口部を閉鎖するように設計されている。サイズのラインナップは幅広く、その留置領域は11~13mmをカバーする。
アミュレットデバイス群と既存デバイス群を対象とした海外臨床試験「Amulet IDE」では、有意に高い左心耳閉鎖率を示した(術後45日時点98.9%、術後12カ月時点99.4%)。また、術後3年時のOAC中止率も96.2%を有意に高い傾向が示されている。