製造受託をワンストップで‐高薬理中心に受託数拡大
医薬品原料、中間体等の輸出入や国内販売を展開する中間物商事は、化学品専門商社として医薬品、電子材料、化粧品農薬など幅広い分野の原料をインドや中国、さらに東欧諸国等から調達し、特に国内の医薬品製造販売業者向けに供給するサービスに注力している。欧州を中心とした海外の開発メーカーと種々の特殊提携を行い、代理店として製造品販売活動に加え、プロセス開発、受託合成、OEM製造など、幅広いサービスを展開している。

フェミオン(フィンランド)の工場
「迅速な対応、確実なサービスの質」をモットーに医薬品・スペシャリティ分野の原料における海外でのソーシングや、受託合成に強みを持ち長年にわたり培ってきたノウハウと経験を生かし、得意先のニーズに対応する。
現在の売上高は約100億円で、このうち医薬品分野は約30億円のビジネスを展開する。2030年には50億円規模に引き上げる計画で、国内の大手製薬企業を中心に、近年は後発薬メーカーの案件も増加。抗癌剤などの高薬理活性、一般の原薬や中間体、そして製剤までの製造受託をワンストップで対応している。
高薬理活性対応のワンストップサービスの特徴は、約30年前から製造委託提携を北欧のレシファーム(スウェーデン)、NCK(デンマーク)や、フェミオン(フィンランド)と行っている点だ。
レシファームとNCKは、前臨床からフェーズIIまでのステージを担当。フェーズIIb以降はフェミオンが高薬理の許容曝露量管理区分(OEB)の5クラスのコマーシャルスケールまで対応可能という。これら数社による橋渡しにより開発から商業生産までをカバーする。
佃伸五社長は「北欧の3社はFDA、EMA、PMDAでの製造申請の実績もあり、三極市場に対し知見や経験を積んでいることが委託先として注目されるポイント。グローバル展開を行う品目に関して日本企業のパートナーとして最適だと考えている」と強調する。
特にフェミオンは「高薬理の合成と粉砕に対応しているため、粉砕だけをターゲットにしながら案件を進めていくことも可能で、間口の広い受託対応ができると考えている」と話す。高薬理に加え日本では取り扱いが難しい麻薬原料や覚醒剤原料などもフレキシブルに対応が可能なため案件も増加しているという。
同社は医薬品の製造プロセス開発から製造上の問題解決と開発のスピードアップを海外受託メーカーのイノベーションネットワークでサポート。開発スピードの短縮や、多くのメーカーの知見を結集した多様なアプローチに加え、自前の研究開発費用の削減、外部・既存施設の活用など設備投資の回避などにつなげている。
高薬理活性に関わらない一般原薬や一般中間体の医薬品受託・製造は中国やインドの企業での対応が多くを占める。佃氏は「プロジェクトの性質や特性で検討されることになるが、グローバル展開を視野に入れる企業向けには、欧州企業での受託製造を看板に掲げている」と展望する。今後5年ほどは、高薬理中心にターゲットを新薬イノベーターから、ジェネリックまで広げ、受託案件の獲得を目指す。また、これまで合成に特化してきたが、今後はバイオシミラーの展開も視野に入れている。
中間物商事
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