富士フイルムは7月31日、医師の画像診断ワークフローを支援するAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer」の新バージョン「SYNAPSE SAI viewer Ver2.7」を、富士フイルムメディカルを通じて発売した。Ver2.7では、新たにオプション機能として、MRI画像での前立腺領域の読影を支援する「前立腺ビュー」、MRI体幹部DWI画像での読影を支援する「Body DWIビュー」を搭載した。また、CT画像の読影支援機能も拡充し、読影医からの要望が多かった「縦隔リンパ節のラベリング機能」を新たに搭載している。
「前立腺ビュー(MR)」は、最新版であるPI-RADS V2.1に準拠した読影を支援する機能。この機能は、起動と同時にPI-RADS読影専用のダイアログが立ち上がり、自動で前立腺の体積を表示する。医師が血液検査で得られたPSA値を入力すると、自動でPSA密度を算出する。また腫瘍計測をすると、自動で腫瘍のサイズ/区域/側性などを表示する。さらに、医師がT2WI/DWI/DCE(ダイナミック造影像)の各スコアを入力すると、PI-RADSカテゴリーを自動で算出する。これらの計測情報やカテゴリー情報を用い、所見文の候補を複数表示することもでき、PI-RADS読影のワークフローを支援する。
近年、MRIを用いた全身がんスクリーニング検査として注目されているWhole Body Diffusion Weighted Imaging(WBDWI)は、▽複数部位の撮像が必要であり、部位ごとのシリーズ結合作業(スティッチング)が必要となる▽撮像部位ごとに適切なコントラストが異なり、部位ごとのコントラスト補正に手間がかかる▽骨転移検索を目的とした読影では、骨以外の高信号領域の削除作業が発生する――といった課題が指摘されている。
今回新たに搭載された「Body DWIビュー(MR)」は、こうした課題を解決し、WBDWI 読影の効率化を支援する機能。この機能は、スティッチングやコントラスト補正を自動化することで、調整作業にかかる手間を軽減している。さらに、MRIの三次元セグメンテーション技術とDWI解析を組み合わせることで、骨領域のみに、ADCカラーマップ表示0を行うことができ、骨転移箇所探索の支援につながることが期待できる。
「縦隔リンパ節のラベリング機能(CT)」は、「肺がん取扱い規約(第8版)」および「食道がん取扱い規約(第12版)」の二つのガイドラインで定義された、縦隔リンパ節区域をラベリングできる機能。既に搭載されているリンパ節抽出機能と合わせてこの機能を利用することで、解剖区域を埋め込んだスマート定型文を呼び出すことができ、レポート作成効率の向上が期待される。
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