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オーダーメイド医療で組織的な取り組み‐三重大病院

2006年9月21日 (木)

 三重大学病院では、昨年11月に「オーダーメイド医療部」を新設、主にオーダーメイド薬物療法システムの確立を進めてきている。現在、CYP3A5遺伝子多型解析をすることによって、部分生体肝移植に伴う免疫抑制療法の際の免疫抑制剤選択するシステムを構築し、有用な成果が積み重なってきている。先に開かれた第46回日本臨床化学会で、西岡淳二氏(三重大学病院オーダーメイド医療部)から紹介された。

 ヒトゲノム多様性解析プロジェクトの成果として、日本人の一塩基多型(SNP)の検索が進み、疾患関連遺伝子の検索、ゲノム創薬、薬剤感受性や副作用の解明など、遺伝子多型に基づくオーダーメイド医療の実用化が期待されている。中でも、薬剤代謝酵素遺伝子多型を応用したオーダーメイド医療への期待は高い。

 そうしたなか、三重大学病院では昨年11月にオーダーメイド医療部を新設し、オーダーメイド薬物療法システムの確立を進めている。オーダーメイド医療部は、院内の既存の組織を横断的に集約化し、7つの部門で構成されている。遺伝子解析は検査部が担当し、カウンセリングは遺伝医療を専門とする看護師が担当する。薬剤部は薬物の血中濃度モニタリングを行い、診療科では遺伝子解析の結果と血中濃度、患者の容態をもとにした投薬、治療法の決定を行っている。

 オーダーメイド医療部の主要な活動の一つに、オーダーメイド薬物療法があり、[1]部分生体肝移植に伴う免疫抑制療法、[2]小児急性リンパ性白血病薬物療法、[3]リウマチの薬物療法、[4]H.pylori除菌療法を対象としたオーダーメイド薬物システム‐‐の実践を目指している。

 現在進んでいるのが、生体肝移植に伴う免疫抑制療法で、ほぼ実用化段階にあるという。免疫抑制療法は、内服量から血中濃度を推測することができない上、有効血中濃度域が狭く、薬剤が不足していると拒絶反応を起こし、多すぎると副作用が起こってしまう。TDMによって服用量をコントロールするが、有効な血中濃度が得られず、うまくいかない症例が多数ある。

 免疫抑制剤として主に用いられているタクロリムスは、CYP3A5によって代謝されるが、その遺伝子多型であるCYP3A5*1 は高い酵素活性を有している。そのため、CYP3A5*1を持つ移植患者では、血中濃度を維持するために多量のタクロリムスの投与が必要になるが、副作用が強く発症し、至適量の維持が困難なケースも多い。

 そこで、移植術前にレシピエントおよびドナーのCYP3A5遺伝子多型を解析し、免疫抑制剤を選択することにより、安全な免疫抑制療法を実践している。

 これまでに経験されたケースでは、CYP3A5*1をホモ接合性に有する患者は、CYP3A5*3の患者に比べ約5倍量のタクロリムスを投与する必要があることが判明している。この症例では強い副作用が発生し、免疫抑制療法に苦慮したという。

 このように、タクロリムスによる免疫抑制療法には、CYP3A5の遺伝子多型の検索が必須になるため、三重大学病院では、生体肝移植の実施が決まると、手術の前にCYP3A5の遺伝子多型解析を行うようにしている。患者がCYP3A5*3/*3ということが分かると、免疫抑制剤にタクロリムスを用い、CYP3A5*1/*1、CYP3A5*1/*3の患者にはシクロスポリンを選択するというシステムを構築し、実用化している。




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