日本メドトロニックは、9月に副鼻腔炎手術後に使用するステロイド溶出型生体吸収性副鼻腔用ステント「PROPEL」が特定保健医療材料として保険収載されたことから、25日付けで発売を開始した。
同製品は、わが国初のステロイド溶出型生体吸収性副鼻腔ステントで、内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)後に副鼻腔(篩骨洞、前頭洞)に留置されるもの。副鼻腔内に留置された後、副鼻腔の開存性を維持しながら、ステロイド成分(モメタゾンフランカルボン酸エステル)を約30日間にわたり局所に徐々に放出し続けることで、術後の再燃リスクを低減することが期待されている。
同製品の臨床試験では、術後30日間に必要な治療介入(外科的追加治療や経口ステロイド薬の使用)が、これまでの一般的な術後管理と比較して有意に35%~47%削減されることが確認されている。
米国で行われた実際の臨床における長期観察研究では、同製品を使用した群は、一般的なこれまでの術後管理と比較して、術後2年間にわたって耳鼻咽喉科の受診を22%、外科的な追加治療を22%、再手術の必要性を27%減少させることが確認され、同製品を使用することによる術後の急性期管理が中長期的に有効であることが示されている。
副鼻腔炎は、国内では約200万人が罹患していると推定され、国内での罹患者の年齢が中央値で45歳と、働き盛りの世代での罹患率も高いのが特徴となっている。ESSは、患者の症状を大幅に改善することができ、国内にでは患者に負担の少ない標準的な治療法として確立しているが、術後の管理が難しく、術後に粘膜の腫れや炎症がみられ再燃することがある。
再燃すると、追加の外科的処置や、炎症を抑えるために副作用リスの高い傾向ステロイド投与が必要となる場合もあり、長年の課題となってる.また、治療コストが高いことも問題になっている。
東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科学講座の鴻信義教授は、「同製品は臨床試験で示されたエビデンスにより、術後の副鼻腔内に留置することで術後の再燃リスクを大幅に低減する可能性があり、日本の慢性副鼻腔炎の術後管理のあり方を変えることを大いに期待している」とコメントしている。