◆名古屋大学理学研究科の近藤孝男教授らは、生物が生活リズムを刻む「生物時計」のメカニズムを、単細胞生物のシアノバクテリアを用いて明らかにした。シアノバクテリアが持つ3種の蛋白質(KaiA,B,C)と、エネルギー源となるアデノシン三リン酸を試験管に入れ、経過を分析した
◆その結果、KaiC蛋白にリン酸が付いたり離れたりするリン酸化反応が約12時間ごとに交代し、この24時間周期が10日間以上にわたって確認されたという。in vitroでの生物時計再現は世界初の成果であり、15日付の米科学雑誌サイエンスに発表された
◆これまで生物時計は、時計遺伝子の発現量とその遺伝子から産生される蛋白質量が周期的に増減し、リズムを刻むものと推測されてきた。だが少なくともシアノバクテリアの場合には、時計遺伝子の発現と蛋白質の増減ではなく、蛋白質のリン酸化と脱リン酸化でリズムを刻んでいることが明らかになった
◆近藤氏らは今後、三つの時計遺伝子の役割やエネルギーの収支を調べ、生物時計のメカニズム解明に取り組む意欲を示している。その研究が、生物時計と脳内物質という眠りのメカニズム解明にまで発展することを期待したい。
生物時計はどう動く
2006年03月17日 (金)
‐AD‐
この記事と同じカテゴリーの新着記事
HEADLINE NEWS
ヘルスデーニュース‐FDA関連‐
新薬・新製品情報
人事・組織
企画
寄稿