人手による翻訳に軸足置く‐「われわれが最後の砦」

安藤氏
ウィズウィグの医薬翻訳は、メディカルライティング、安全性情報管理支援の主力事業にも生かされている。対製薬企業、対当局への正確性、実用性の高さが強みだ。業界ではAIの活用が進み始めているが、同社はAI翻訳の信頼性については企業側も当局側もまだ満足いく水準に届かないことも多く、今は過渡期と見て、培ってきた人手による翻訳にも軸足を置く。実際、AI翻訳に満足できず、持ち込まれる案件もあるという。安藤惣吉代表取締役は、「医薬関連文書は正確でなければならない。われわれが最後の砦となるとの意識で取り組んでいる」と、サービスの信頼性の高さをアピールする。
同社の特色あるサービスの一つとして挙げられるメディカルライティング事業も、新薬臨床試験関連文書の翻訳と連携している。翻訳の正確性、メディカルライティングによる当局申請に向けたブラッシュアップと、それぞれ定評のあるサービスを組み合わせることで、製薬企業の意図を反映しつつ、当局担当者が読みやすく、申請に通りやすい文書を作成する。PMDA(医薬品医療機器総合機構)の業務にも携わっている経験から、対当局向け文書の用語や言い回しに対する経験やノウハウが同社スタッフには蓄積されている。
同社の翻訳の実用性の高さは、安全性情報管理業務支援にも生かされている。安全性情報は期限内での国内外への当局報告が伴うため、迅速かつ正確な翻訳が必要になる。
このようなサービス提供が可能なのは同社の始まりに由来する。1994年に設立した同社は、NASAのデータベース構築事業で翻訳精度に関し非常に厳しい要求に応えるところから始まった。そこで文章を科学的に正確に読み込む技術に裏打ちされた翻訳精度の高さが培われた。
加えて、海外の有名な医学教科書の翻訳などの医学書翻訳、新薬承認申請関連翻訳に着手し、製薬企業の翻訳コーパスデータの作成も手掛けてきた。
こうして使われる場面を意識して読みやすい資料に仕上げる高品質の翻訳の提供を常に目指してきたのが同社だ。
たくさんの企業から受託するより、一つひとつの案件にしっかり対応して納品する。そして顧客の要求・要望に沿って柔軟かつきめ細かく対応することが同社の基本姿勢だ。
このような姿勢の下、専門性の高い人材と、30年以上の歴史と積み上げてきた実績と信頼性を強みに、多くの製薬企業や医療機器メーカー、CROなどから選ばれ続けてきた。
翻訳サービスの特徴の一つは、医学翻訳に精通した翻訳者による翻訳に、専門知識を持つチェッカーがクリティカルチェックを行い文書の精度を高めていることである。多数の翻訳者・作業者・チェッカーを擁し、急ぎの案件にも対応できるよう万全の体制を整えている。
安藤氏は、「昨今重視されるスピードにも対応できる体制にある。また、情報セキュリティも強く求められるところだが、弊社システムはオンプレミスで運用している。AIの活用が加速していることは承知しており、適切な使い方を常に考えてはいる。が、まだ翻訳の内容の正確性や読みやすさは人に依るところが大きい」と述べ、医薬翻訳における同社の立ち位置を説明する。
ウィズウィグ
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