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医療機器にあった審査体制を

2009年6月26日 (金)

 医療機器・技術は、日進月歩の進化を遂げており、幅広い分野で適用されている。

 世界の医療機器市場は20兆円強で、そのシェアは、米国9兆4000億円、欧州6兆8000億円、日本2兆円となっている。日本の医療機器市場のシェアは約10%だが、内視鏡や画像診断装置など一部を除き、そのほとんどが外国製品で占められている。しかも、欧米で上市されている製品が,未だ国内に導入さないというデバイスラグが生じているのが現状だ。

 デバイスラグは従来、原理・構造・効能効果等が既存の製品とは明らかに異なる新医療機器に限った問題だった。しかし、2005年の改正薬事法の施行により、新規性の低い一般的な医療機器にも,デバイスラグが生じるようになり、より一層この問題に拍車をかけている。

 その一方、日本では数多くの優れた基礎研究が推進されているが、その成果が具現化され、臨床現場に用いられるような製品開発に結びついているとは言い難い。最近の特許数を見ても、医療機器の完成品に近い部分特許は圧倒的に米国が多い。

 だが、部分的に日本の細かな技術が、米国の医療機器に導入されている例も少なくない。これらの状況は、精度の高い日本の技術を、国内で臨床開発し、承認にまでにこぎ着けるには、今の制度ではあまりにも時間がかかり過ぎることを物語っている。

 では、その最も重要ポイントとなる医療機器の臨床研究制度において、日米でどのような違いがあるのか。米国では、治験に至る以前から,企業と医師が連携して臨床研究に取り組める環境が整っている。

 これに対し日本の治験は、治験届けの提出でスタートするものの、治験の前段階で企業が医療現場に試作品を提供し,医師にデータを収集してもらう行為は,薬事法で禁じられている。

 つまり、早い段階からの開発者と医療現場との密接な情報交換と改良・改善の繰り返しが、新製品を生み出す大きな原動力となっているということだ。

 そもそも、海外との制度上の大きな違いとして、日本では薬事法の中で医療機器を規制している点を問題視する声が多く聞かれる。現行の薬事法が制定された60年当時の医療機器は、滅菌器や消毒器など単純な原理のものが多い。50年間に日進月歩の進歩を遂げた現代の医療機器には、当時の薬事法はそぐわないと言う理由からだ。

 さらに、医薬品の有効性・安全性の確保は、品質性の担保が大きな割合を占める。だが医療機器は、使う人の力量が大きく有効性・安全性に左右するため、「薬の法律で医療機器を規制するには無理がある」とする医療機器関係者の意見も根強い。

 その一方で、医療機器企業側に、製品本体に問題が生じた場合、責任を審査した側に転化する考えがあるとすれば、それは根本的に間違っているだろう。医療機器の品質・有効性・安全性の担保は、審査する側の権威ではなく、各企業の責任に委ねられているのはいうまでもない。

 産官学の連携により、日本の患者が海外の患者と同様に、医療機器の進歩の恩恵を1日でも早く享受できるような体制作りを望みたい。




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