日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は先月9日に開いた総会・理事会で、今年度の新組織体制を決定した。新会長には寺西忠幸氏が就任し、協会発足から会長を務めた松本南海雄氏は名誉会長として、引き続き寺西体制をサポートしていくこととなった。
また、同日には協会設立10周年記念式典も盛大に開かれるなど、新たな一歩を力強く踏み出した。
JACDSの設立総会が開かれたのは1999年6月で、当時は薬剤師常駐問題を含めた新たな一般用医薬品販売のあり方をめぐって、活発に議論が行われていた時でもある。こうした中、日頃は競合するライバル同士が手を組み、ドラッグストアの社会的地位や役割の向上、医療や医薬品販売のあるべき姿、そして業界全体のマーケットの拡大を目指し、大同団結して諸問題の対応に動き出した。
10年間の協会活動として、まず挙げられるのが薬剤師不足の解消と、薬事法改正への働きかけである。ある協会幹部は、「安全性・効果性・利便性を三位一体で実現するための規制のあり方を目指し、いく度となく時の厚生労働大臣への陳情や地方自治体などへの働きかけを行ってきた」と、苦労を振り返る。さらには一般用医薬品販売制度改正への提言をまとめ、全国紙への意見広告掲載なども行った。今回、改正薬事法に伴う新販売制度が施行されたが、こうした一連の活動も改正への大きな後押しをすることとなった。
セルフメディケーションの推進をテーマに掲げ、毎年春に開かれるJAPANドラッグストアショーは、今年で9回を迎えた。日本の本格的なヘルス&ビューティフェアであり、年々変化する生活者のニーズに対応する情報提供の場として、会期中の来場者は約13万人を数える。今では日本国内のみならず、海外からも注目を集めるH&BCの一大イベントに成長した。
人材育成もドラッグストア業界にとっての大きなテーマであり、01年からJACDS認定のアドバイザー制度を開始し、現在はヘルスケア、ビューティケア、ベビーケア、漢方ケアという、健康と美容に関する四つのアドバイザーを輩出し、薬局・ドラッグストア店頭での重要な戦力となっている。
このほか様々な委員会活動を行ってきたが、その成果として02年には商業統計、08年には日本標準産業分類に“ドラッグストア”が収載され、制度的な位置づけが明確になったことも注目したい。
新たな販売制度は、OTC医薬品の位置づけを大きく変化させ、ドラッグストアが今後も、高齢化社会におけるセルフメディケーション推進の牽引役となる可能性を秘めている。ドラッグストア業界にとって、これまでの10年間は、いわば業態が社会的に認知され、位置づけを得るための期間だったといえよう。
今後の10年間は、社会的認知を得たドラッグストアが、国民に対してさらなる役割を果たしていけるか、引き続き成長を続けていけるかが問われる重要な期間といえる。その意味でも、JACDSの全会員が一丸となっての今後の取り組みには、業界のみならず国民の注目が集まっている。