科研製薬とバイオベンチャーのカルナバイオサイエンス(本社神戸市、社長吉野公一郎氏)は、キナーゼ阻害薬の創製を目指した研究を共同で行う契約を結んだ。特定のキナーゼを標的に、その働きを阻害する低分子有機化合物を創製すべく、7月1日から共同研究を開始する。標的とするキナーゼと疾患名は公開していない。
カルナバイオサイエンスは、研究材料として活用できるキナーゼを321種類保有。各キナーゼに対する新薬候補物質の阻害活性を測定するアッセイ系も構築している。これらの基盤技術と、科研製薬の開発ノウハウや開発資金を組み合わせることで、新薬の創出を目指す。
カルナバイオサイエンスが外部機関と新薬創出を目的とした共同研究契約を結ぶのは、国立がんセンター、SBIバイオテック、韓国のクリスタルゲノミクスに続き4番目。製薬会社とは初めて。
酵素の一種であるキナーゼを阻害する薬剤は「グリベック」(一般名:イマチニブ)などで成功。キナーゼは、癌などの創薬標的として世界的に注目を集めている。
同社は2003年4月に発足。粉飾決算によって事実上解体されたカネボウの新薬事業部に在籍していた研究者らが中心になって、日本オルガノンによる買収、日本の研究拠点の撤廃を経た上で独立し、立ち上げたもの。08年3月にジャスダック証券取引所NEO市場へ上場を果たした。