政府は1日、2010年度政府一般歳出予算の概算要求基準を決定した。厚生労働省所管分以外を含めた社会保障関係費は、自然増1兆0900億円の増額を認め、25兆1000億円の枠を設定。無理のない範囲で節約に努める注文もつけたが、捻出した費用は他には回さず、社会保障に充当する方針も明確にした。
高齢化や医療の高度化に伴う国庫負担の自然増は、医療3000億円台半ば、年金3000億円強、介護1000億円強、その他3000億円弱を見込んだ。
概算要求基準は、総額52兆7000億円で09年度当初予算を約1兆円億円上回る。先に閣議決定した基本方針2009を反映し、社会保障関係費の抑制は消えた。
医療費の国庫負担は、09年度当初予算に3500億円を加えた約9兆3500億円がベース。仮に診療報酬を1%上下させた場合、国の負担金は4月~翌2月で交付するため、来年度予算としては850億円程度の財源が動くことになる。後発品使用促進に加え、早期妥結で薬価差が拡大しているとの観測もあり、次期改定では、薬剤費の削減分が本体部分の引上げ財源として狙い撃ちされる可能性もある。
また、公共事業6・9兆円を除く裁量的経費は、今年度当初より1400億円少ない7・3兆円となった。ただ、経済危機克服、安心社会実現、成長力の強化といった基本方針09で示した重点課題については、特に緊急性や政策効果が高い施策に重点配分する「経済危機対応等特別措置」として、上乗せの対応を行う枠組みが新設された。
社会保障の「ほころび」修復は、基本方針09の柱の一つに位置づけられており、社会保障の機能強化に向けた施策として、加算が認められる可能性はある。特別措置の財源は、経済緊急対応予備費1兆円から捻出する。現段階では規模として3500億円を想定、最終的には年末の経済状況を踏まえて決定する。
このほか、高齢者医療制度の運営に対する国庫負担の取り扱いについては、予算編成過程で別途検討することとなった。