厚生労働省の先進医療専門家会議は2日、高度医療に承認されている「内視鏡下手術用ロボット支援による冠動脈バイパス移植術」と、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査「無拘束型多点感圧シートセンサを用いた簡易検査」の2件を、先進医療として保険診療と併用することを認めた。
内視鏡下手術用ロボット支援による冠動脈バイパス移植術は、東京医科大学病院が金沢大学病院を協力機関として実施。虚血性心疾患を適応症とするが、十分に心肺機能が良好で、ロボットの使用を希望する患者に限定し、胸部の手術既往歴や感染症歴があって、胸腔内の癒着が予想される患者は除く。
対象とする術式の範囲は、当初、難易度の低いものにとどめ、技術水準が基準に達したことを確認した上で拡大する。第1段階は、ロボットを使用して剥離・採取した内胸動脈グラフトを、ロボットを用いず肋間開胸により冠動脈に吻合する術式に限定。成功率などの条件を満たせば、第2段階として、内胸動脈グラフト採取から冠動脈への吻合までの全過程でのロボット使用を認める。ただし、吻合するグラフトは1枝のみで、多枝吻合は先進医療の対象としない。
費用は、第1段階が155万8000円、第2段階が234万4000円。
無拘束型多点感圧シートセンサを用いた簡易検査は、睡眠時無呼吸症候群関連症状と同症候群が疑われる臨床所見の両方を持つ患者を適応症とする。
ベッドに敷いた多点感圧シートセンサが、呼吸に伴う身体下の微小な圧力変化を感知して、睡眠中の呼吸状態を記録する技術で、主治医はデータに基づいて、精密検査の要否や治療方針を判断できる。患者は普段通り就寝するのみで、センサ類を体に装着する必要がないため、身体的・心理的抵抗感を軽減できる。
また、保険適用されている簡易検査(720点)より感度が優れ、費用も3000円と安価。さらに、確定診断用精密検査(3300点)と比べても安価で、今後の普及が見込まれる。
実施医師要件は、当該技術を1年以上、3例以上経験した呼吸器、循環器、神経内科、耳鼻咽喉科、精神の専門医など。医療機関要件は、当該技術を3例以上経験し、内科・耳鼻咽喉科・精神科のある有床施設で、保守管理体制や院内で終夜睡眠ポリグラフィーによる精密検査実施体制を整備することが求められる。
また、この日は、高度医療に承認済みの「抗心筋自己抗体の免疫吸着療法」についても審議し、先進医療として認めないことを決めた。普及性、効率性などの点で、患者に費用負担を求める妥当性に欠け、さらに、薬事承認の適応外となっている血漿成分吸着器の治験が開始される見通しであることが主な理由。