TOP > 社説 ∨ 

薬局の医療機能、これからが本番

2006年02月15日 (水)

 健康保険法と医療法を中心とする医療制度改革関連2法案が10日に閣議決定され、国会に提出された。今後のわが国医療のあり方をめぐり、いよいよ国会という舞台で、国民を巻き込んでの本格的な議論が戦わされることになる。

 そのうち医療法一部改正案は、第5次医療法改正に当たるもの。少子高齢化の進展や国民意識の変化など、医療を取り巻く環境の変化を踏まえ、国民の医療に対する安心・安全・信頼を確保し、質の高い医療サービスが適切に提供できる体制の構築を目指している。

 そのための方策として、広告規制の緩和や、医療機関等に一定情報の都道府県への届け出義務化といった「国民・患者への医療に関する情報提供の推進」「医療計画の見直し等を通じた医療機能の分化・連携を推進」し、切れ目のない医療を提供すると共に、早期に自宅生活へ復帰できるように、在宅医療の推進を図っていく。

 また、へき地等の特定地域や小児科、産科など特定診療科で深刻化している医師不足に対し、「医師等医療従事者の確保策」を強化していくのに加え、医療安全支援センターの制度化・医療安全確保の義務化、行政処分を受けた医師等の再教育義務化といった「医療安全の確保」にも積極的に取り組んでいく。

 こうした改正案の中で特筆すべきは、やはり薬局の機能面を重視して、「調剤を実施する薬局」を医療提供施設として位置づけると、改正案の中に明記されたことだ。1992(平成4)年の医療法改正において、薬剤師が「医療の担い手」として、医師、歯科医師、看護婦(当時)と共に明記されて以来の画期的な成果といえる。

 今回の改正案で示された医療提供体制の将来像は、04年9月から社会保障審議会医療部会で議論が始まり、昨年8月に中間報告が、そして昨年12月に最終的な形が意見書としてまとめられたもの。

 医療部会には、日本薬剤師会の代表が委員として参加している。当初から医薬品を地域に提供している薬局・薬剤師が、地域医療や医療連携体制の中でその機能を十分に発揮し、地域医療の向上を目指していくためには、薬局を医療提供施設として正式に位置づけることが、重要であると主張してきた。

 97年の医療法改正で医薬分業の推進は、地域医療計画の「任意記載事項」として盛られたにとどまった。やはり薬局が医療提供施設として、医療法に位置づけられていなかったために、地域の医療提供体制に関する計画を議論する場面で、薬局・薬剤師の意見が十分に反映できなかった面は否めない。

 その一方で、医薬分業が全国平均で50%を超え、量的拡大から質が問われる時代に入ったことに加え、在宅医療への積極的な貢献、薬学教育6年制に伴う薬剤師の資質向上が、具体的な課題として挙がってきた。このため地域医療と薬局・薬剤師の関係に、新しい展開を図る必要性もあった。

 薬局が医療提供施設として法律に位置づけられれば、薬局薬剤師は新たな第一歩を踏み出すことになる。法律上ではなく、本当の意味で薬局が医療提供施設として社会から認知され、評価を得ていくためには、薬局・薬剤師は何を行い、どのような実績を積み上げていくのか、真価が問われる本番はこれからだ。



‐AD‐

同じカテゴリーの新着記事

薬剤師 求人・薬剤師 転職・薬剤師 募集はグッピー
HEADLINE NEWS
ヘルスデーニュース‐FDA関連‐
新薬・新製品情報
人事・組織
無季言
社説
企画
訃報
寄稿
新着記事
年月別 全記事一覧
アカウント・RSS
RSSRSS
お知らせ
薬学生向け情報
書籍・電子メディア
書籍 訂正・追加情報
製品・サービス等
薬事日報 NEWSmart
「剤形写真」「患者服薬指導説明文」データライセンス販売
FINE PHOTO DI/FINE PHOTO DI PLUS
新聞速効活用術