後発品の使用促進が進まないのは、薬剤師が説明責任を果たしていないからだといわれているが、事はそれほど単純ではなく、啓発不足など様々な要因がある。とはいえ、各種調査データで目に付くのは説明不足で、薬局・薬剤師がやり玉に挙がっているともいえる。その中で今後の焦点の一つは、病院薬剤師による貢献ということになりそうだ。
後発品の使用促進を進めている日本ジェネリック医薬品学会(GE薬学会)は、病院薬剤部が自施設で選択している後発品の情報を、地域薬局と共有する薬薬連携が、どれだけ後発品の使用促進につながったかを調査する意向だ。学会が選定した3病院を対象に8月にもスタートする予定だ。
これとは別に、日本病院薬剤師会では「後発医薬品の使用促進について」のたたき台をまとめ、27日に理事会に報告した。たたき台は病院薬剤部が中心となって、後発品使用促進に取り組んでいくための具体例をとりまとめたもの。そこでのキーワードもGE薬学会同様、薬薬連携・情報共有化ということだ。
地域レベルでの情報ネットワーク構築による病院薬剤部と保険薬局との情報共有化をはじめ、病院薬剤部が主体となった後発品の情報収集や、薬事委員会での後発品選択などを盛り込んだ。日病薬では今後議論を深め、積極的に後発品の使用促進に向けた方策を模索する方針だ。
後発品の使用促進については、山本信夫日本薬剤師会副会長が中央社会保険医療協議会委員の立場も含め、「薬剤師が説明していないとの指摘を受け、情けなく思っている」と反省の弁を述べているが、同時に「処方せんを書く医師が判断し、薬剤師が受けて医薬品を選び、患者さんがイエスという、三つの要素が絡み、(薬局)薬剤師の努力だけで進むわけではない」と指摘する。
日病薬が挙げる具体化例は、[1]病院として一律な後発品への変更不可処方せんの発行を行わない[2]病院薬剤部が中心となり、後発品に関する情報収集を充実させ、薬事委員会などで後発品の選定を行う[3]院外処方薬のみならず院内採用薬、特に注射薬についても後発品への切り替えを積極的に図る[4]地域レベルで後発品の情報ネットワークを構築、地域薬局との情報共有化を図る[5]病院での後発品採用基準、採用リストを地域の薬局に提供する――などだ。
これらは先進的に取り組んできた病院、特に病院薬剤部がその中心的な役割を果たしてきた病院では、実施されてきたことも多い。ただ団体として表明、取り組む意義は大きい。山本氏の言う要素“処方せんを書く医師”ではないにせよ、“処方せん発行側”としての対応を示すもので、地域の薬剤師仲間をフォローすることになる。言葉ばかりが先行していた「薬薬連携」だが、「薬剤師による国民皆保険の維持への貢献」へと実を結ぶことを期待する。
また日病薬では、▽安心して使える後発品の選定のため、問題ある後発品を調査研究し結果を公表する▽後発品の使用阻害要因を調査分析、問題点の除去を行う――などにも取り組んでいくという。
日薬では、後発品に限らないが、従来から医薬品試験を実施し、医薬品の安全供給に向けた品質管理を継続してきた。その点でも何らかの形で連携することが、“科学者”としての存在感を同時に示せるのではと期待する。