京都府薬剤師会は6月の2009年度通常総会で、来年4月1日からの京都府病院薬剤師会との組織統合を決議した。今年4月の京都府病薬総会でも同様の決議をしており、10年度から新たな京都府薬剤師会としてスタートを切る。都道府県の薬剤師会と病院薬剤師会との組織統合は今回が初めてで、全国的に大きな注目を集めている。
両会の組織統合は、05年に京都府薬が設置した将来計画検討会が始まり。京都府病薬でも、06年事業計画に「京都府薬との統合に向けた検討」が盛り込まれた。
07年3月には、京都府薬の検討会が、「京都府内の薬剤師は一つの組織として活動する必要がある」との中間報告を発表。報告を受けて、京都府薬では4月に統合検討特別委員会を設置。京都府病薬との合同委員会で統合に向けて、具体的な協議を開始した。
今年開かれた両会の総会で「統合」が決議されるまでの間、合同委員会の開催や、昨年2月に京都府薬メールマガジンの病院薬剤部への配信を実現。今年4月には、京都府病薬の事務局を府薬剤師会館内へ移転し、府病薬の事務を府薬が受託するなど、着々と統合に向けての準備を行ってきた。
今回の組織統合は、「長年両会の会長を兼務してきた乾賢一氏の存在なくして実現しなかった」ともいわれる。乾氏が「薬剤師は一つ」の強い信念を持ち、両会の取りまとめに尽力してきたことが組織統合につながった。
両会の組織統合が生み出すメリットは、どのようなものが考えられるのか。支部レベルでの薬局薬剤師と病院薬剤師の連携は、休日夜間診療体制の強化や、患者の入退院時のスムーズな情報交換、後発品の使用促進に寄与するだろう。
研修会・講習会などの一本化により、薬局薬剤師のスキルアップや効率的な会の運営も期待できる。薬学教育6年制の実務実習受入体制の充実にもつながる。
これらのメリットが、地域医療の充実、ひいては薬剤師職能の向上につながっていくのは言うまでもない。薬剤師にとっては、窓口の一本化によって総意を集結し、薬事行政に働きかけることができるのが何よりのメリットだ。地方行政の窓口である京都府薬との統合で、病院薬剤師の意見も行政に伝えやすくなる。
その一方で、▽会員資格▽組織体制の見直し▽病院薬剤師部会の設置▽事務局体制・事務分担の見直し▽地域支部のあり方――など、統合までに解決すべき具体的な検討課題も残っている。
また、社団法人と任意団体の統合のため、法的な面でクリアすべきハードルもいくつか残っているという。日本薬剤師会と日本病院薬剤師会の負担金が強いられる統合後の病薬会員の会費についても課題の一つだったが、現行の1万2000円を1万9800円とすることで決着している。
日薬は、公益法人の見直しを契機に、「全ての職域の薬剤師が集える魅力ある薬剤師会にしたい」との考えを打ち出しているが、日病薬は組織統合に慎重な姿勢を崩していない。
従って、現実的には、今後、京都の動きが他地域に波及し、各県の薬剤師会から統合されていく可能性が高いだろう。ボトムアップ方式で、あらゆる職域の薬剤師が一つにまとまる日がそう遠くないことを期待したい。