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医薬品卸の役割に一層の期待

2009年7月24日 (金)

 医薬品卸業連合会の会長が、松谷高顕氏から別所芳樹氏に代わって2カ月が経った。昨年から不退転の覚悟を持って医療用医薬品の流通改善に取り組み、課題とされた三つのうち、一部で異論はあるものの、未妥結仮納入(早期妥結)と総価取引の是正については、一定の評価が得られていることは、業界内で共通認識となっている。

 残りの一つは一次売差マイナスの解消であり、これは大手卸全社の社長が、「失敗だった」と口を揃えている。早期妥結への積極的な行動は、行き過ぎもあったのか、価格低下を招いたことや、売差マイナスを改善できなかったことなどの要因が複雑に絡み合って、卸企業の前期決算は、目を覆いたくなるような悲惨な状況に陥った。

 特徴的なのは各社、売上高は伸長しているにもかかわらず、利益を大幅に減らしているという、他の産業には見られない不思議な現象を引き起こしたことだ。今年度は各社、猛省した上で業績回復を目指し、それこそ企業存亡をかけた不退転の決意を持って取り組む覚悟を表明している。 では、日本の医薬品卸業界はそれほど乱れているのかと問われれば、否である。欧米先進国を含めて国際的な観点から見ると、日本の医薬品、特に医療用医薬品流通は極めて安心、安全、安定した市場業態であると言える。ニセ薬と訳される“カウンターフィット”が日本の市場に出回らないのは、ほぼ100%医薬品卸が介在しているからにほかならない。

 国際医薬品卸連盟(IFPW)に出席し、世界の現状を目の当たりにした、松谷氏をはじめとする薬卸連の役員、薬卸各社の社長も、「世界に冠たる」という冠詞をつけて、日本の医薬品流通業を評価している。

 この自負は、業界の良識につながり、黙々と日々努力して、決して国民が広く知ることもない平時における安心、安全、安定な医薬品流通を、黒子に徹して実現している。また、巨額な費用を投じた新型インフルエンザのパンデミック対策、利益を無視した大地震などの大規模災害発生時対応などで、医薬品卸の存在意義は改めて認識される。

 クラヤ三星堂の渡辺秀一社長は、「医薬品卸は公的企業に近い存在だ」との考えを述べているように、医療機関や交通機関、国民のライフラインを確保するための電力やガス等の供給企業と、同等の公的な役割を担っていることは確かだ。

 この公的な役割を全うするため、言い換えれば社会的使命を完遂するために医薬品卸は、コスト削減、効率的な物流、経営面を含めた顧客支援などを各社独自の戦略で展開している。例え、一時的に業界全体の業績が悪化したとしても、卸が果たさねばならない社会的使命・役割がなくなるわけではない。

 今や1兆円、2兆円を超える企業規模になった大手卸は当然のこと、自分たちの使命を熟知して地域医療に貢献し続けている地方の有力卸も活躍していることは、いろいろな課題もあるものの、日本の医療と医薬品の安定供給にとって心強い限りである。

 医薬品流通業界で、今年の流行語大賞の筆頭候補と目される別所氏の「ガタガタ」。この強力かつ悪性の感染症を完治させるため、別所氏の手腕に寄せられる期待は並外れて大きい。卸の自覚と存在意義に見合った回復を見たいものだ。




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