厚生労働省は来年度、新たな後発品の使用促進策として、積極的に後発品を採用している地域の中核病院薬剤部の後発品採用基準や、薬剤部が作成した採用リストを、同じ地域内の保険薬局と共有する事業を始める。日本ジェネリック医薬品学会や日本病院薬剤師会などでは、独自に地域レベルで後発品の情報ネットワークを構築する取り組みを進めているが、国として都道府県の「後発医薬品安心使用促進協議会」を通して、ネットワーク構築を支援することになる。
医療機関や薬局が後発品を採用する際には、どの後発品を採用するかを判断した上で、理由を患者に説明する必要がある。また、薬局は処方せん発行医療機関に説明することも求められる。
そのため、病院の薬剤部が、どの後発品を、どのような判断基準で採用しているかなどの情報を、地域内で共有できる体制が整えば、情報収集や説明の手間を簡略化できるため、後発品の使用促進につながると期待される。
新事業では、厚労省から委託を受けた都道府県の「後発医薬品安心使用促進協議会」が、地域で中核となる病院薬剤部を選定。選ばれた病院薬剤部が中心となって、院内で使う後発品の採用基準や採用リストなどの情報をとりまとめ、地域内の医療機関や調剤薬局に提供し、情報の共有化を図る。
また、地域の病院薬剤部や薬局を対象とした研修会も開催する。地域で後発品使用に積極的な病院や薬局の専門家を講師に招き、現場レベルでの課題の解決方法などについて理解を深める。
既に厚労省は今年度事業で、薬局が取り扱う後発品の情報を、同じ地域内の医療機関と共有する「後発品備蓄リスト」の作成に取り組んでいるが、「後発品の使用促進に協力的な地域もあれば、そうでないところもある」(厚労省関係者)ため、新たな策を追加することで、さらに加速させたい考えだ。
日病薬がまとめた後発品使用促進の具体化例では、▽地域レベルで後発品の情報ネットワークを構築し、地域の保険薬局との情報の共有化を図る▽病院での後発品採用基準、採用リストを地域の薬局に提供する――ことなどが盛り込まれている。
日本GE薬学会でも地域の病院薬剤部と調剤薬局が情報共有を図り、どれだけ後発品の使用促進につながるかを調査することを検討しており、厚労省の事業は、病院と薬局の情報ネットワーク構築を後押しすることになりそうだ。