東京都は今年4月、ユニバーサルデザインの理念に基づいた、新たな東京都福祉のまちづくり条例を施行した。先月、同条例が全面施行となったことにより、商店街などの小規模な店舗においても、例えば出入口の段差解消などのバリアフリー化が進むことになるという。
とはいえ小規模店舗にとっては、おいそれと店舗施設の改造は難しい。このようなバリアフリー整備が困難な小規模店舗については,“おもてなしのサービス”で対応してもらいたいとして、都ではこのほど、具体的にどのようなことに気をつければいいのかのポイントを整理した冊子「みんなが来たくなるお店づくり、だれにでもおもてなしのサービスを」を作成した。
おもてなしのサービスを広めることで、高齢者や障害のある人も含めて、様々な来店客が気持ちよく買い物や食事を楽しんでもらえる商店街にする。そして、商店街の活性化につなげることが、冊子作成の大きな狙いだ。
冊子では、障害のある人が来店した際の対応方法(お手伝いの方法)などのポイントを、絵や写真入りで分かりやすく解説しているほか、商店街での自主的な研修実施の手順なども例示した。
店に入りたくなるポイントとして、▽出入口周りを整理整頓する▽入店が困難なお客様にお手伝いする▽迷っているお客様には声をかける――などを挙げる。また、商品選びの際には、商品名や値段の読みにくさの改善も求めている。
小売業、接客業にとって基本的なことでもあるが、改めて確認してみる価値は大といえよう。都では今後、冊子を都内の商店街に配布していくという。
商店数の推移などを見ても、近年は大規模小売業が拡大を続けているのに対し、小規模小売業は減少傾向にある。こうした背景が、商店街の衰退・停滞にもつながっている。
衰退の目立つ従業員が1人から数人の小規模小売業では、経営上の課題として「後継者がいない」ことも挙げているが、何といっても近年の最大の悩みは、大型店を中心とする価格面・品揃え面での競争への対応が困難になっていることだろう。
一般的に、中小小売店は、地域・顧客に密着した、きめ細かな対応が可能である強みがある。品揃えや価格面で大型店に対抗していくことは困難だが、中小小売店ならではの強みを十分に生かし、さらなる消費者の支持獲得につなげることは十分に可能だろう。実際に米や酒など、その分野の専門店として顧客を獲得し、売り上げを伸ばしている中小店も多い。
日本OTC医薬品協会が今年3月に行った消費者アンケート(1000人が回答)では、OTC医薬品についての自由意見として様々な声が寄せられた。
このうち薬局・薬店、ドラッグストアに対しては、商品管理面や店舗サービスへの要望は少なく、多かったのが「薬剤師に詳しく薬の説明をしてほしい」「相談に乗ってほしい」「薬の勉強をしてほしい」「きちんと説明してほしい」という声だった。
医薬品販売業としては、おもてなしのサービス、地域の顧客に対する丁寧なアドバイスを通じて商店としての魅力を高め、そして専門性の発揮を信頼につなげていくことが強く求められている時代といえるだろう。