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病院薬剤師に今、追い風が

2009年10月30日 (金)

 9月末で任期が切れた中央社会保険医療協議会委員の人事が、このほど長妻昭厚生労働大臣自身から発表された。来年4月の診療報酬改定を前にした大事な時期に、約1カ月も中医協が中断、任期切れの委員はようやく決まったが、少なからず波紋が広がっている。

 大きな変化は、任期切れ前に3人いた日本医師会執行部の席がなくなったこと。代わって,厚生族のドンといわれ、今回の総選挙では民主党人気で落選した丹羽雄哉氏のお膝元、茨城県の県医師会理事の鈴木邦彦氏、加えて長妻厚労相が「診療報酬の大変な権威」と評する京都府医師会副会長の安達秀樹氏、医学教育改革で論客ぶりを発揮する山形大医学部の嘉山孝正氏が委員となった。

 これにより、診療側の医師委員は従来の診療所3人、病院2人という構成が、2対3に逆転した。医師不足といっても,実態は勤務医不足による産科、救急医療を中心とした医療供給体制の疲弊が焦点。また、ある講演で外科医が「産科・救急の話題で、見えにくいが、外科医の不足も深刻」とボソッと話していたが、病院医療を重視する姿勢は見て取れよう。

 薬剤師委員には、北海道の札幌薬剤師会会長で日本薬剤師会理事の三浦洋嗣氏が就任した。民主党の薬剤師議員である三井辨雄、逢坂誠二両氏が共に北海道ということで、そのラインでの人選かとの憶測もあったようだが、日薬の三浦氏について長妻厚労相は、入院診療報酬の引き上げを掲げる政権公約に沿った人選であるとし、長い病薬経験が買われてということのようだ。

 このほか、専門委員では、任期を残し辞任した国立長寿医療センター総長・大島伸一氏に代わり、日本放射線技師会会長の北村善明氏が就任した。放射線技師は初めてだ。長年続いた自民党政権下では、実質的には各団体の推薦をもとに、日医や日薬執行部の中から診療側委員を選ぶというのが慣例であった。今回これを改め、民主党の医療政策に合致する人材を“一本釣り”した形だ。

 この“変革”を機に、医療施設側にも変化が見られる。先の国立病院総合医学会において矢崎義雄国立病院機構理事長は、同機構の運営を官から独立した、国立医療法人とする方向性を示した。新政権下だからこその提案だと語る。全国145施設・職員数5万人を超える巨大組織が、非公務員型を目指すという。

 また総合医学会では、多くの職種にわたってスキルミックスの問題が取り上げられた。とりわけ病院薬剤師は新たな業務模索を含め、スキルミックスでの存在感の増強を目指している。「病院の医師不足」に端を発したスキルミックス論議だが、皮肉なことに政権交代を背景に、中医協の“病院重視”の方向性など、病院薬剤師には大きな追い風となっている。

 その中で28日、日本病院薬剤師会の「がん専門薬剤師制度」を、11月から日本医療薬学会に移管することが発表された。今後、他職種の専門性と同様、「医療法上の広告ができる専門性」と認められよう。例えば、国立病院機構で専門性手当がつけば、他機関の処遇改善にも高い波及効果が期待される。

 がん専門薬剤師による業務も、他職種間とのグレーゾーンを含み、未だ不安な面もあろう。名実ともに専門性が認められる方向だが、その専門を全うするために、法令上どこまで業務ができるのかを,はっきりさせる必要もある。今、そのスタート地点に立っているのかもしれない。




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