ゼリア新薬の伊部幸顕社長は17日、都内で開いた中間決算説明会で、炎症性腸疾患(IBD)治療薬「アサコール」について、「発売後2年目には、国内でIBD治療剤市場の50%を達成したい」との方針を明らかにした。年内には、潰瘍性大腸炎治療剤としてアサコールの国内投入を予定している。同社は今後、アサコールを医療用医薬品事業の柱と位置づけ、国内市場シェア50%に相当する売上高100億円の達成を目指す。
消化器領域に特化した医療用医薬品事業を展開する同社は、2004年にスイスのティロッツ・ファーマからアサコールを導入した。07年には、協和発酵(現協和発酵キリン)と国内共同開発・販売契約を締結。昨年4月に潰瘍性大腸炎治療剤として申請を行い、今年10月に承認を取得した。現在、年内の上市を予定しているところで、発売後は、協和発酵キリンと1ブランド2チャンネル方式で共同販売を行う計画だ。
アサコールの国内展開について、伊部氏は「長期処方が認められる発売後2年目には、IBD治療剤市場の50%を獲得したい」と述べ、IBD治療剤市場のシェア50%に当たる、売上高100億円の達成を目指す考えを表明した。
一方、同社は9月に、導入先のティロッツを買収。国際展開の足がかりとして、重点化する消化器領域の事業基盤を強化した。ティロッツは、欧州・中東・アジア・中南米など、世界53カ国でアサコールを販売しているが、昨年から北欧とアイルランドで自社販売を開始し、業績が拡大している。さらに今後、チェコ、バルト3国に自販エリアを拡大する計画にあることから、伊部氏は「今後も右肩上がりの業績が期待でき、12年度には(ティロッツ単独)売上高が100億円を超えるだろう」との見通しを示した。