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【日本薬局学会学術総会】次世代の薬局像追い、自ら変革

2009年11月19日 (木)

開会式

開会式

 日本保険薬局協会の主催による「第3回日本薬局学会学術総会が14、15の両日、「保険薬局を変える、保険薬局が変える」をメインテーマに、神奈川県のパシフィコ横浜などで開かれた。参加者は予想した2500人を超え、シンポジウム、ワークショップ、一般演題、ポスター発表などを通し、保険薬局を取り巻く現状と課題が討論された。特に、医療が大きく変わりつつある中で、薬局も自ら変革を志向していく必要があるとの視点から、次世代の薬局像が発信された。


あいさつする三津原会長

あいさつする三津原会長

 開会式であいさつした三津原博会長(日本保険薬局協会会長)は、「メインテーマを『保険薬局を変える、保険薬局が変える」としたのは、保険薬局が主体的に変わっていくことに、社会が大きな期待を寄せているためだ。代替調剤により、患者にジェネリック医薬品を提供していくことは、増加する医療費の抑制につながるし、改正薬事法の施行に伴うOTC医薬品の取り扱いに対する関心も大きい」と述べた。その上で、薬局はこうした国民の期待に応えるため、求められる機能や職能を追求し、質的向上を図っていくことが重要だと訴えた。

相談や健康づくりの拠点に

 シンポジウム「これからの薬局にできること」では、藤井誠(厚生労働省健康局総務課保健指導室)、三溝和男(東京薬科大学)、辻本好子(ささえあい人権医療センターCOML)の3氏が、保健行政、薬局、患者の立場から発言。保険薬局として地域住民のために何ができるのか、何に取り組む必要があるのかが討論された。3人のシンポジストからは、薬局が薬や医療の相談、健康づくりなどの拠点となることを、目指すべきことが指摘された。

 藤井氏は、地域の健康づくりを進める方策を取り上げた。健康づくりは、健康意識の向上などを国民運動化するポピュレーションアプローチ(一次予防)と、患者予備軍などを特定して健診や保健指導するハイリスクアプローチ(二次予防)の二本立てで進められている。藤井氏は、それを推進するには、「地域で生活する全員の連携が不可欠」だとした。

 その上で、地域住民が健康づくりに取り組む場として、薬局の役割が重要になると強調。「薬局は、健康づくりの拠点として、予防的な視点も持って役割を果たしてほしい。それには、地域住民が自然と薬局に集まるような姿が理想だと思う」と話した。

 三溝氏は、今後の薬局を考えるキーワードとして、[1]超高齢社会の到来[2]在宅医療・介護の推進[3]健康の維持・予防とセルフメディケーション――の3点を挙げ、その対応について考察した。

シンポジウムの総合討論

シンポジウムの総合討論

 超高齢社会という面では、従来の処方せんを待っていた薬局から、地域へ飛び出して“御用聞き”薬局となること。具体的には、高齢者に薬を届けて服薬指導を行うと同時に、必要な生活用品を届けるなどの援助、独居高齢者への声かけ・支援などに取り組む薬局像を描いた。

 在宅医療の推進では、患者のQOLが守られているか、副作用による悪影響が出ていないかなどへの気配りが大切とした。セルフメディケーションの推進に関しては、健康相談、OTC検査薬等を利用した健康管理と共に、医療機関を受診する必要があるか否かの専門的判断も求められるとした。

 辻本氏は、「様々な情報が簡単に入手できるこの時代に、薬剤師は患者にとって信頼に足り得るか」と疑問を投げかけ、「薬のプロフェッショナルとして、信頼に足る専門性を発揮してほしい」と要請した。

 薬剤師に対して辻本氏は、患者の納得と自立の支援を求め、「患者は何もかも医師に期待しており、薬剤師の存在感は薄い。医療チームの一員となることを本気で決意してもらいたい」「薬剤師は言葉を使用する知的専門職のはずだが、一言が足りない場合が多い」「指導などの“上から目線”の言葉ではなく、背中に回ってそっと後押ししてほしい」と語った。

在宅緩和ケアへ薬局が参加

 「地域緩和ケアチームにおける薬局への期待」のシンポジウムでは、医師、看護師から在宅医療への薬局薬剤師の参加に要望の声が上がり、薬剤師自身からも、かけ声倒れに終わらない取り組みが必要と、声があがった。

 医師の立場から発言した全国在宅療養支援診療所連絡会の太田秀樹事務局長は、「良質な在宅医療を推進するためには、薬剤師の協力が条件と言える」と指摘。また、居宅系高齢者施設も含めた“看取りの場”で、「患者の人生を支えるマインドを持ってほしい」と述べ、「これまで医師と看護師が車の両輪だったが、在宅医療はいばらの道。薬剤師、歯科医師を加えた四輪駆動で展開し、他職種がキャタピラになって在宅ケアを進める」と語った。さらに、「薬物療法は心と体の苦痛を除く有効な手段。地域は薬剤師の職能を生かすフィールド。ぜひ、患者の自宅に足を踏み入れてほしい」と呼びかけた。

 訪問看護パリアンで在宅ホスピスケアを実践する聖路加看護大学の川越博美教授も、在宅ケアチームへの薬剤師の参加に期待を寄せ、「薬剤師と患者、医師の架け橋として訪問看護師を使ってもらいたい」と述べた。特に、モルヒネが必要な患者に対応するために、薬局が不可欠と強調し、麻薬調剤が可能な薬局の所在や夜間・休日に対応可能な薬局を公表すると共に、麻薬の破棄を拒まないよう求めた。

 日本緩和医療薬学会副代表理事を務める済生会横浜市南部病院の加賀谷肇薬剤部長は、外来オピオイド使用患者の副作用確認や、自己中断の防止といった薬局薬剤師の取り組みに期待感を示した。その上で、在宅緩和ケアに必要な薬剤調製として、▽TPN無菌調製▽一包化調剤への対応▽ピルケースセット等の患者自己管理支援▽PCAポンプへの麻薬充填▽服薬管理手帳等の作成・配布‐‐を挙げた。

 さらに、前回の診療報酬改定における在宅患者訪問薬剤管理指導料の見直しや、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の新設、緩和ケア診療加算における薬剤師の病棟配置の要件化にも言及。「成果を上げなければ、評価しなくていいと判断されかねない」指摘し、積極的な活動の必要性を強調した。

 今後の取組みとしては、退院時カンファレンスへの薬局薬剤師の参加、日本緩和医療薬学会が提供するeラーニングサービスの活用、認定制度への挑戦を促した。

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