長妻昭厚生労働相は1日の閣議後会見で、行政刷新会議の事業仕分けで、OTC類似薬を保険給付の対象外とする方向性が示されたことに対し、「漢方薬は医師が処方をしているものでもあり、直ちに外すことには疑問がある」と異議を唱えた。
さらに、「湿布薬、うがい薬についても、効能や中身を精査している。対応を(漢方薬と)違えることも決めていない」と、OTC類似薬全般の保険上の取り扱いについて、専門家の意見を聴きながら、省内で対応を検討していることを明らかにした。
政府の行政刷新会議は11月30日夕、事業仕分け結果を大筋で認めることを確認したが、政治決着の余地を残している。2010年度予算上の最終的な結論については、査定当局との協議や、予算編成に関する閣僚委員会で判断することになる。
ただ、民間議員を中心に、事業仕分けを最大限尊重して、評価通り受け入れるべきとの声が強い。会議後の会見で、仙谷由人行政刷新担当相は「国民に説明する材料が(事業仕分けと各府省の)どちらにあるのか」と指摘し、仕分け結果をくつがえす府省には、説明責任が求められるとの見方を示した。
一方、長妻厚労相は翌日の会見で、仕分け対象となった事業のうち、政策的に必要な案件を、横断的事業見直しの結果と併せて明確にする意向を表明。また、漢方薬の保険外しを問題視する理由について、「本当に医師が処方したものと同じ成分、同じ効能のものが手に入るのか疑問。患者の負担が増える話を非常に短い時間で、しかも、2年に1回の診療報酬改定が目前に迫っている段階で、拙速に決めることにも疑問がある」と述べた。