厚生労働省は2日、基準収載薬価と市場実勢価格の平均乖離率は平均8・4%とする薬価本調査の速報値を、中央社会保険医療協議会総会に報告した。調整幅を2%とすると、実勢価に基づく引き下げ率は薬価ベース約6・4%で、医療費を約5000億円圧縮することになる。現在検討中の薬価制度改革を反映させると財源効果は約4800億円になる見込みで、改定率は約6・2%となるが、前回の5・2%を上回り、医療費ベースで1・3%の本体引き上げ財源を捻出した格好だ。また、併せて報告された材料価格本調査の速報値によると、平均乖離率は約7・0%(前回8・9%)だった。
今回の薬価調査では、金額シェアで全体の7割近くを占める内用薬の乖離率が8・7%と比較的大きく、注射薬は7・9%、外用薬は7・5%、歯科用薬剤は1・4%だった。また、後発品の占める割合は数量ベース20・2%(前回18・7%)、金額ベース7・7%(6・6%)で、初めて数量シェアが2割を超えた。
なお、厚労省は、同日の薬価専門部会に「新薬創出・適応外薬解消等促進加算(仮称)」導入を中心とした薬価制度改革の考え方を、財政試算と共に提出した。それによると、新薬創出加算では、薬価引き下げ猶予の財源として約830億円を見込む一方、併せて後発品のある先発品の追加引き下げで約530億円削減する。
このほか、通常の長期収載品の特例引き下げや市場拡大再算定等で約400億円圧縮するが、不採算品再算定等で約300億円が必要になるため、実勢価に基づく引き下げ財源に、200億円食い込むことになる。