薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は11月30日、ノバルティスファーマの腎細胞癌治療薬「アフィニトール」と、大鵬薬品の乳癌治療薬「アブラキサン」を審議・了承した。
「アフィニトール」の有効成分はエベロリムス。根治切除不能または転移性の腎細胞癌の効能・効果を追加した。
同剤は、癌細胞の増殖や血管新生の調節因子であるラパマイシン標的蛋白質(mTOR)を阻害する分子標的治療薬で、心臓移植時の免疫抑制剤「サーティカン」として承認されている。
既存薬であるバイエル薬品のネクサバールや、ファイザーのスーテントで十分な効果が得られなくなった場合など、セカンドラインとして用いる。
治験段階では重篤例は少なかったが、間質性肺疾患の副作用が比較的高い頻度で見られたため、承認条件として全例調査、市販後安全管理の徹底を付した。安全管理は、▽化学療法に熟知し、特に間質性肺疾患について管理可能な医療機関で使用▽全例調査の登録医療機関と薬局のみで使用――することを求める。米国や欧州など8カ国で承認されている。
「アブラキサン」の有効成分はパクリタキセル。抗癌剤のタキソールは、添加物としてポリオキシエチレンヒマシ油と無水エタノールを使用しているため、使用患者の制限や,ステロイド剤の前投薬などが必要となる。
同剤は、添加剤にヒト血清アルブミンを用い、タキソールの禁忌例にも使用できるようにした上、前投与の手間も省いたことが特長となっている。また、タキソールは点滴静注に1時間から3時間かかるのに対し、30分で済むというメリットもある。
ただし、添加剤のヒト血清アルブミンは血液由来で、未知の感染症へのリスクがあることから、承認条件として全例調査が付された。海外では38カ国で承認されている。
さらに、中外製薬の抗インフルエンザウイルス薬「タミフルドライシロップ3%、同カプセル75」について、「予防」の効能追加と新用量の承認を了承した。