健康日本21推進フォーラム(理事長:高久史麿氏)は、糖尿病を発症している40~60歳代のビジネスマン400人(男女各200人)を対象に実施した実態調査結果を公表した。それによると、糖尿病患者の最低2人に1人は、ビジネス上で“ハンデ”を感じていた。
世界での糖尿病の急激な拡大もさることながら、日本でも糖尿病患者がここ20年足らずで3倍に増加している。厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、糖尿病患者数は予備軍を含め、2210万人に到達したと推計している。
調査は、糖尿病と初めて診断される年齢として多い40~60歳代について、日常の生活での治療の実態を把握することや、治療に対する課題を明らかにすることを目的に実施された。
その結果によると、糖尿病患者は仕事を行うに当たって、身体的負担を3人に1人(36・8%)が、精神負担は2人に1人(50・8%)が感じていた。また、全体のおよそ4割(37・3%)が、糖尿病であることを仕事の関係者に知らせておらず、自身が「糖尿病」であることを取引先に告げている人は、わずか15・9%に過ぎなかった。
知らせない理由としては、▽プライベートのことを話す必要はない(71・8%)▽病気だと思われたくない(39・6%)▽偏見、差別が心配(32・2%)▽仕事をする上でハンデになる(25・5%)‐‐などが挙げられた。
糖尿病であるための仕事上の“不安”も、3人に2人(66・5%)が感じていた。仕事上で不安を感じる瞬間のトップ3は、「糖尿病の怖さを知った時」(31・3%)、「薬をのみ忘れた時」(24・3%)、「飲み会・宴会」(23・8%)だった。
糖尿病薬の副作用に悩まされた経験がある人は16・8%。全体として、悩まされた経験がある副作用で最も多いのが「低血糖」。勤務中の低血糖症経験がない人でも、4割以上(43・9%)が低血糖症に対し不安を感じていた。「低血糖症」が起きてほしくない(勤務中の)場面は、「運転中(63・3%)」「電車・バスの中(51・3%)」など移動中が上位だった。
医師の治療指示や指導が守れない理由では、およそ3割(28・8%)が「仕事上の宴席」と回答。部長クラス以上では、6割以上(63・0%)が「仕事上の宴席」を守れない理由として挙げている。
治療が継続できるために、医師に望むことのトップ3は、「適切な指導」(58・5%)、「丁寧なインフォームド・コンセント」(47・8%)、「治療薬の選択肢と説明」(42・0%)」だった。
新薬に対する受容度は、およそ8割(77・1%)と高く、新薬の服用に対して意欲的な人が多かった。どんな新薬でも試してみたい人は31・3%、海外で実績があれば安心して服用できる人は27・3%と高かった。