社会保障審議会医療保険部会は8日、OTC類似医療用薬の保険外しについて議論し、医薬品の適正使用、患者負担の両面から、現行通り保険給付の制限を行わない方向で委員の意見が一致した。今後は、同部会の議論を踏まえて厚生労働省が財務省、行政刷新会議らと折衝し、予算編成過程で対応を探る。
この日の部会では、厚労省事務局が論点メモを提出し、OTC類似薬を保険給付外にすると、患者負担が増えることを示した上で、「給付外とする範囲によって、どのような患者に、どの程度の負担が生じるか、吟味する必要があるのではないか」と指摘。
負担増になる患者層として、湿布薬を保険外とした場合には関節痛などを持つ高齢者、うがい薬・かぜ薬では小児、漢方薬では更年期障害や自律神経失調症の中高年を例示した。
また、市販薬と異なる効能を持つOTC類似薬があるほか、同じ漢方薬であっても、医療用と成分・含量が同一の市販薬があるとは限らないとし、給付と給付外の切り分けの整理を課題に挙げた。さらに、製薬企業の販売行動への影響、給付外の範囲選定のための基準策定で、一定の時間が必要になることも指摘した。
これを受けて岩月進委員(日本薬剤師会常務理事)が、「混合診療に再び火を付けることになるかもしれない」と危機感を示し、OTC類似薬であっても医療用医薬品と市販薬で使い方が異なることを理由に、「保険から外すことは大変問題が大きい」と述べた。