TOP > 社説 ∨ 

健康意識高める環境づくりに期待

2006年12月11日 (月)

 最近、マスコミで取り上げられる機会が多い「メタボリックシンドローム」。突然の心筋梗塞、脳出血、脳梗塞などを予防するためには、日頃からの健康意識を高めることが重要となる。行政や企業、各種団体などが主催する、メタボリックシンドローム等をテーマとした講演会も増えてきた。

 NPO法人の地域診療情報連携協議会は、メタボリックシンドロームの予防を視野に、前橋市内の40歳から70歳の地域住民を対象として、今年2月から来年3月まで毎週1回「予防医学勉強会」を開講している。講師は全員がボランティアで、群馬大学教授、地域の開業医、臨床検査技師、理学療法士などがそれぞれの専門分野を担当し、分かりやすく説明するもので、いわゆる健康コミュニティーの役割としても期待されている。同協議会ではこのほど、「未病」の概念について講義を行うと共に、参加者に勉強会に関するアンケートを行った。

 「未病」という言葉については、知らない人が過半数だったが、講義を受けた後には、多くの人が理解できたと回答。健康と病気の中間にある未病という概念について、「難しいが大切だと思う」「概念を知ることで病気の予防になる」「予防医学を力を入れて勉強したい」など、疾病予防という観点から、重要なことだとする意見が数多く寄せられた。また、自分の健康を維持するために心がけていることとしては、食事を筆頭に運動、サプリメント、健康食品、漢方、ヨガ・太極拳など、様々な回答があった。

 健康診断の結果については、8割弱が毎年のデータあるいは今年のデータを持っていると回答。健診で基準値から外れた場合にどう対処するかでは、ほとんどの人が医師・医療関係職種の人に相談すると回答するなど、定期的に勉強会へ出席している人たちだけに、健康意識の高さがうかがえる。さらに、近所に「街角健康相談所」のようなものがあったら利用したいと思うかでは、85%が「利用したい」と答えた。

 協議会ではアンケート結果から、「健康、食生活について意識するようになり、テレビ・雑誌等の医療に関する情報にも積極的に興味を持ち、日常生活の中でも家族との会話や食事・運動等の行動変容が見られる。参加者相互のつながりも励みになっていることがうかがえる」など、予防医学勉強会が個人の健康管理と地域の健康レベル向上に、成果を見せていることに期待を寄せる。

 ここで調査の内容を紹介したのは、未病という概念が、薬業関係者らが推進に力を入れている“セルフメディケーション”の位置づけと、極めて近いものがあると考えるからだ。生活者が主体となって病気の治療・予防、健康の維持・増進を図っていくことが、セルフメディケーション本来の趣旨であり、その環境整備に向けて、医療・医薬・介護・運動・食生活その他の関係者による取り組みも徐々に進められている。

 調査では「街角健康相談所」的な機能に対して、住民から高い期待感も示されたが、これに最も近い存在といえるのが、地域に密着した薬局・薬店、ドラッグストアではないか。言い換えれば「国民はセルフメディケーションの環境づくりを求めている」ともいえるわけで、このニーズを再確認することが重要だ。



‐AD‐

同じカテゴリーの新着記事

薬剤師 求人・薬剤師 転職・薬剤師 募集はグッピー
HEADLINE NEWS
ヘルスデーニュース‐FDA関連‐
新薬・新製品情報
人事・組織
無季言
社説
企画
訃報
寄稿
新着記事
年月別 全記事一覧
アカウント・RSS
RSSRSS
お知らせ
薬学生向け情報
書籍・電子メディア
書籍 訂正・追加情報
製品・サービス等
薬事日報 NEWSmart
「剤形写真」「患者服薬指導説明文」データライセンス販売
FINE PHOTO DI/FINE PHOTO DI PLUS
新聞速効活用術