第一三共の庄田隆社長は10日、都内で記者会見し、米国市場で苦戦しているとされる抗血小板剤「エフィエント」(一般名プラスグレル)について、「昨年末まで、米FDAの薬剤マーケティング・広告・コミュニケーション担当部門(DDMAC)から、販促資料の使用許可がなかった」と背景を説明。1月に「エフィエント」に関する販促資料の認可を取得したことを明らかにし、「これから有効性を中心としたプロモーションを展開していく」と本格的な販促活動に乗り出す考えを表明した。
大型化が期待されている「エフィエント」は、昨年4月に英国、8月には米国で発売を開始。経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行した急性冠症候群(ACS)患者を対象に、米イーライリリーと共同販促を進めてきたが、米国市場での伸び悩みが指摘され、これまでの売上高は約2700万ドルにとどまっていた。
庄田氏は、「(米国における)医療機関の採用品目リストへの収載、カテーテル室への設置率に関しては、順調に進んでいる」としながらも、「昨年末まで、米国で使う販促資材がFDAのDDMACから認可されていない状況にあったため、第一三共とイーライリリーは、添付文書と米国心臓病学会の論文のコピーのみで、安全性を中心に情報提供を行ってきた」と、部分的な販促活動にとどまっていたことを明らかにした。
その上で、「やっと1月から、DDMACから認可された販促資材が使えるようになったので、これから標準治療薬に比べて強く、早く、安定した効果を発揮するエフィエントの、有効性を中心としたプロモーションを展開していく」と、販促活動を本格化させる方針を示した。