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若者は将来の医療費を不安視‐日本医療政策機構が世論調査

2010年02月12日 (金)

 国民の6割以上が、現在の医療に満足しているものの、医療制度の決定プロセスには8割強が不満を持っていることが、日本医療政策機構の「日本の医療に関する2010年世論調査」から分かった。また、若者を中心に将来の医療費に不安を抱いている現状や、9割以上が後期高齢者医療制度の保険料の仕組みを問題視していた。

 調査は、今年1月に全国の20歳以上の男女1650人(有効回答1024人)を対象に、▽医療制度に対する満足度や不安▽新政権の医療政策▽経済成長と社会保障の選択と成長産業への期待--などについて聞いた。

 医療制度については、全般的な満足度は「まあ満足」「大いに満足」合わせて57%と過半数に達した。項目別には、「診断・治療等の技術」「安全性」など、医療の内容に直接関わるものは過半数が「満足」と回答しているのに対し、「制度決定への市民参加」「制度の分かりやすさ」には、8割以上が「不満」とした。

 初めて調査が実施された06年と比較すると、全般的な満足度は16ポイント改善し、「安全性」や「診断・治療等の技術の質」「医療機関へのアクセス」など、医療内容や現場のサービスへの満足度が大きく改善する一方で、「医療制度の平等性」や「医療費」は横ばい、「制度決定プロセスの公正さ」「制度決定への市民参加の度合」など、政策決定のプロセス面では「不満」が増加した。

 一方、将来の医療に対する不安は、「必要なときによい医療を受けられない」(74%)、「深刻な病気にかかった時に医療費を払えない」(79%)、「医療ミスにあう」(80%)の項目で7割を超えた。「不安」と答えた割合は、昨年よりも若干減少したが、07年と比較すると、引き続き多くの人が不安を感じていた。

 「不安」と答えた割合は、若い年代ほど高い傾向にあり、将来の医療費について「非常に不安」と答えた割合は、20~30代のみが4 割を超えていた。他の年代の不安は、07年の水準近くにまで低下したのに対し、20~30代だけは、昨年からあまり下がっていない。厳しい雇用・経済情勢などを反映し、若者を中心に医療費に対する不安が持続していることを窺わせる結果だった。

 後期高齢者医療制度については、「高齢者の保険料が上がる仕組み」について、90%が「問題だ」と感じていた。年代別に見ると、保険料負担に関する点を問題だと思う割合に、あまり差が見られかなかったのに対し、年齢で区切ることや、「後期高齢者」の名称については、高い年代ほど問題と捉える傾向が見られた。施行から2年近くを経て、制度は定着しつつあるものの、多くの国民が制度に否定的なイメージを持っている実態が示された。

 経済成長と社会保障のいずれを優先すべきかについては、経済成長優先が49%、社会保障優先が51%と、意見が真っ二つに分かれた。所得・資産が高い人は経済成長を重視し、低い人は社会保障を重視する傾向にある。

 日本の成長産業としての期待は、「環境・新エネルギー」(37%)と「医療・介護」(36%)の二つに集中した。

 現政権の医療政策の中では、「事業仕分け」が最多で65%の肯定的評価を集めた。このほか「医師養成数を1・5 倍にする」(64%)、「たばこ税の増税」(60%)、「新型インフルエンザ対策」(56%)には、過半数が肯定的な評価をした。

 事業仕分けが大きな注目を集める一方、医療関係者間で関心の高い、▽診療所よりも病院の救急医療に医療費を重点的に配分する▽中央社会保険医療協議会の運営・人選の見直し--などの政策は、知らない、分からないとの回答も多かった。

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