中央社会保険医療協議会の診療、支払の各側は12日、2010年度診療報酬改定案答申後にそれぞれ記者会見を開き、今改定の総括や今後の課題について見解を披露した。
診療側:“病院重点”正しい方向‐医療経済調査などに注文
診療側委員は、10年ぶりに0・19%のネットプラス改定となったことを一様に評価した。しかし、医師代表の委員からは、診療所の再診料が引き下げられたことについて「残念」との声が漏れた。また、三浦洋嗣委員(日本薬剤師会理事)は、後発品の調剤報酬が数量ベースの段階的な評価が導入されたことを受け、さらなる使用促進に向け、努力する考えを示した。
安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は、「診療所」より「病院」に重点を置いた配分となったことについて、「正しい改定の方向性だったと思っている」との考えを示した。
しかし、入院診療に4400億円が配分される一方で、開業医の外来診療が400億円の配分に抑えられたことについては、「財務省の越権行為」と非難。その上で、「総枠が足りない中で、ベター・ザン・ワースト(診療所)からワースト(病院)に持ってくるという考えは、極めて危険。ベター・ザン・ワーストもそんなに余裕があるわけではない」と述べた。
また、嘉山孝正委員(山形大学医学部長)は、正しい情報に基づく診療報酬の決定システムが必要とし、医療経済実態調査など、厚生労働省が集めたデータではなく、医療の現場を理解している人や、統計調査・分析に詳しい人で構成した「公平・中立な組織」で行うことを提案した。
三浦委員は、調剤報酬で課せられた「後発品の使用促進という命題に則り、今後も一層努力していく」とした。また、病院においては、「チームの一員として活動し、勤務医の負担軽減にも役に立てるような活動を続けていきたい」と述べた。
ただ、薬局の経営については、「この改定でまだ納得できるものではないと考えている」ともした。