日本製薬工業協会会長の庄田隆氏(第一三共社長)は16日、大阪での記者懇談会で、今春から2年間の試行が決まった「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」について、「恒久的な制度として、本格的な実施につなげることが大変肝要だと思う」と語った。その実現を、製薬協の2010年度重点課題の一つに掲げ、取り組みを進めたいとした。
庄田氏は、一定条件を満たせば、特許期間中は薬価が維持される新薬創出加算について、「研究開発型の製薬企業が、進むべき方向性が明確になった。創薬への取り組みを、一層推進していかなければならない。製薬産業としての国際競争力の強化にもつながる」と評価した。その上で、12年度からは「恒久的な制度」として定着させたい考えを示した。
実現に向けては、「未承認薬、未承認効能へのしっかりとした対応」が重要と述べたほか、「この制度が導入されたからといって、薬価差が拡大するようなことがあってはならない。医療関係の方々に、医薬品卸と共同して、この制度の意義を十分ご理解いただくことが重要」とし、「流通改善のさらなる促進が必要」と語った。
また、民主党を主軸とした新政権への対応については、「各省の大臣、副大臣、政務官に、製薬産業の現況と課題について話す機会をできるだけ多く持とうとしている。官民対話の再開についても現在、訴えているところ」と話した。
このほか、10年度の製薬協重点課題として、「新しい薬価制度の恒久的な実現」に加えて、▽研究開発基盤、臨床研究体制の一層の整備および審査の促進▽国際連携、国際協力のさらなる推進▽環境対策、情報公開への新たな展開▽国民への貢献、経済成長への寄与等、製薬産業に対する理解の促進――を掲げ、総会での了承を得た上で、これらの取り組みを進めたいともした。