米メルク日本法人の万有製薬は4日、シェリング・プラウと統合後の新会社名を「MSD株式会社」とすると発表した。日本での統合は、2010年下半期に完了させる予定で、新生MSDは国内8位(売上ベース)の規模に浮上する。都内で記者会見したマーク・ティムニー社長は、「短期的には5位以内に入ることが目標」と述べ、「今後、毎年複数品目の承認申請を控えており、それを実現する豊富なパイプラインがあると確信している」と、成長に自信を示した。
万有製薬は、アンジオテンシンII受容体拮抗薬「ニューロタン」をはじめ、循環器系・メタボリック領域の製品群が売上の50%以上を占めていた。統合後の新会社では、重点領域の循環器系・メタボリック領域に、シェリング・プラウの高脂血症治療薬「ゼチーア」、呼吸器系に抗アレルギー薬「クラリチン」などが加わるのみならず、新たに麻酔科、中枢神経系、癌、女性の健康の4領域を含めた製品ポートフォリオに拡大する。
その結果、MSDの製品領域構成は、循環器系・メタボリック40%、呼吸器系20%、感染症・ワクチンが15%となることから、ティムニー氏は「バランスのよいポートフォリオで、非常に楽しみな機会が待っている」と統合への期待を語った。
既に昨年には、万有のDPP‐4阻害薬「ジャヌビア」、シェリングの喘息治療薬「アズマネックス」など、両社で5製品を新発売し、今年もシェリングの筋弛緩回復剤「ブリディオン」、抗癌剤「テモダール」の発売が控える。
また、国内開発パイプラインには、申請段階に万有の緑内障治療点眼薬「コゾプト」、子宮頸癌予防ワクチン「ガーダシル」、第III相試験段階には、骨粗鬆症治療薬「MK‐0822」、抗真菌剤「MK‐0991」、ロタウイルスワクチン「V260」など6品目に加え、シェリングのトロンビン受容体拮抗薬「SCH530348」が控える。10年中には4件、さらに11~13年にかけて15件以上の承認申請を目指す方針だ。
こうした豊富なパイプラインを背景に、ティムニー氏は「短期的には国内5位入りが目標。それを実現できるパイプラインがある」と自信を示した。その上で、「これだけの新製品、承認申請を予定している国はない」と述べ、米メルク本社にとってMSDの重要性が増している点を強調した。