2.2%の追加引下げが影響
日本製薬団体連合会保険薬価研究委員会は11日、4月の薬価改定の影響に関する調査結果等をまとめた研究報告を発表した。委員会常任運営委員会25社の改定影響率は7・1%と、前回改定時調査の5・8%に比べ、1・3ポイント引き下げ幅が大きくなった。後発品のある先発品に対する2・2%の追加引き下げが影響した。また、試行的に導入された「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」(新薬創出加算)に関して、25社の全品目数のうち、加算の適用された品目数は374品目(72・9%)に上ったが、企業ごとに受けた恩恵は0~58品目と、バラツキの大きいことが明らかになった。
4月の薬価改定の平均影響率は、薬価研25社が7・1%(前回5・8%)で、厚生労働省が公表している平均改定率5・75%を、大きく上回る影響となった。後発品を扱う日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)39社では9・6%(8・8%)、欧米企業のPhRMA・EFPIA会員20社では6・2%(5・6%)。いずれも前回より引き下げ幅は拡大した。
薬価研会員社などで引き下げ幅が大きいのは、後発品のある先発品に対する2・2%の追加引き下げが行われたためだ。調査結果によると、全品目に占める追加引き下げ対象品目の売上比率は、薬価研で33・3%、GE薬協で0・9%、PhRMA・EFPIAでは37・8%となった。
しかし、売上比率の内訳を見ると、薬価研で0~80・0%、GE薬協で0~96・8%、PhRMA・EFPIAで0~91・3%と各社バラツキが大きく、企業によっては、甚大な影響が直撃したことがうかがえた。
委員会では、2・2%の追加引き下げについて、「後発品の使用促進の遅れは、価格以外の要因も多分に影響する」として、「後発品の使用が進まないとした理由だけで、このような措置が今後、既成事実化することは受け入れられない」と強く反発している。
一方、4月の薬価改定で最大の成果は、新薬創出加算の試行的導入である。調査結果によると、全品目数のうち新薬創出加算の対象となった品目数は、薬価研が513品目(11・4%)、GE薬協が17品目(1・2%)、PhRMA・EFPIAが389品目(30・2%)。そのうち実際に加算が適用された品目数は、薬価研が374品目(72・9%)、GE薬協が17品目(100%)、PhRMA・EFPIAが322品目(82・8%)となった。
全品目に占める加算適用品目の売上比率を見ると、薬価研では15・7%、GE薬協では0・2%、PhRMA・EFPIAでは25・3%と、一定の割合を占めていたが、企業ごとにバラツキが非常に大きい結果となった。
さらに、加算適用品目の加算額合計が、全品目の売上に占める割合は、薬価研0・8%、GE薬協0%、PhRMA・EFPIA1・2%という結果であり、研究開発型製薬企業では、およそ売上の1%程度が加算の恩恵を受けた格好となった。
委員会は、新薬創出加算の試行的導入について、「大枠では業界提案がほぼ踏襲されており、次期改定を待たずに導入されたことは、大きな意義がある」と評価。
ただ、実勢価に基づく算定値に加算率を乗じることになった点について、「0・8掛けをしなくても、加算後の改定薬価が、改定前薬価より低くなるケースが存在する」と問題点を指摘。「改定前薬価に加算率を乗じた額が加算されるべき」としている。