米ファイザーは、抗癌剤「マイロターグ点滴静注用5mg」(一般名:ゲムツズマブオゾガマイシン)について、10月15日付で、米国内での販売中止と自主的な承認の取り下げを行うことを発表した。市販後の急性骨髄性白血病(AML)患者を対象とした第III相試験「SO106」で、マイロターグの併用・追加投与による効果が確認できなかったもの。米国での販売中止を受け、国内でも今後の対応を協議していく方針。
マイロターグは、旧ワイス社が開発した抗癌剤。米国では、2000年に「他の化学療法の適応がない60歳以上のCD33陽性のAML初回再発患者」に対する単剤療法として、迅速承認された。その際、市販後に臨床的有益性を確認する試験を実施し、追加データを提出することが承認条件とされていたため、マイロターグの併用・追加投与による有効性を検討する目的で「SO106」試験を進めてきた。
「SO106」では、未治療のAML患者を対象に、初回寛解導入療法「ダウノルビシン+シタラビン」へのマイロターグの併用効果と、大量シタラビン療法による地固め療法後のマイロターグの追加投与効果が検討された。しかし、中間解析結果では、マイロターグの併用、追加投与による有益性が確認できなかったほか、致死的有害事象の発現率も、マイロターグ併用群で有意に高かった。
この結果を受け、ファイザーは試験の早期中止を決定し、10月にマイロターグの販売中止と自主的な承認の取り下げを行うことになった。
既に国内では、05年から「再発・難治性のCD33陽性のAML」の適応で、マイロターグの販売を行っている。米国での販売中止対応を受け、国内については、全例調査の解析結果や承認時の臨床試験の結果に基づいて、マイロターグのリスク・ベネフィットを専門家、行政などの各署と協議し、今後の対応を決定する方針。