生活習慣病など、慢性疾患で長期にわたり先発品を服用している被保険者を対象に、後発品に切り替えた場合の、治療費の差額を通知するサービスを行っている市町村国保は、10都道府県、42市町村にとどまっていることが、厚生労働省の調査で分かった(表参照)
調査は、差額通知サービスの取り組み状況を把握するためのもので、5月に保険局国民健康保険課が、全国の都道府県を通じて行った。サービスの実施状況を調べたのは、今回が初めて。
それによると、差額通知の取り組みを行っている市町村国保は、北海道(10市町村)と沖縄県(19市町村)で多い傾向が見られた。2008年7月に全国の市町村に先駆けて実施した広島県呉市をはじめ、福岡県久留米市などでサービスを実施していたが、全国的な取り組みとはなっていない状況だ。
北海道と沖縄県が多い要因について、厚労省は「特に分析はしていない」としている。ただ、医療費抑制の計画策定を義務づける、「安定化計画指定市町村」との関連性は注目される。
指定市町村は、医療給付費が国の定める基準より高く、安定化計画策定の対象となる市町村のこと。指定市町村は、医療費抑制の数値目標や具体策などを盛り込んだ計画を、3月末までに定めなければならず、差額通知サービスは、その具体策の一つとされている。
10年度は、前年度の109市町村からは減少したものの、24道県の97市町村が指定されている。都道府県別では、北海道が15市町村と最多で、徳島県の11市町と続いていたが、徳島県でサービスを実施している市町村はなかった。市町村の多くが、3月からサービスを実施している点も、このことと符合する。
ただ、沖縄県に関しては指定市町村がなく、関連性を裏づけるものがない。