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6年制薬剤師の就職基盤整備を

2010年7月2日 (金)

 6年制の薬学生実務実習(第=期)が5月中旬からスタートした。2012年には、待望久しい6年制薬剤師が初めて誕生する。

 だが、その就職に関しては、▽薬剤師は20年には13万人余る▽医学部、歯学部と終了年数が同じなのに、薬剤師の平均年収は低い――など、ネガティブな見方も少なくない。

 その一方で、「2年間卒業生が出ない空白を経て、1年で7500人の薬剤師しか誕生しないため、数年間は売り手市場になる」と予測する向きもある。

 日米の薬科大学の学費と薬剤師の待遇の比較を見ると、卒業までの学費は、米国の公立で870~1600万円、私立で1700万円、日本では公立で350~390万円、私立で1150万円程度だ。

 30代後半の勤務薬剤師の年収は、米国の薬局で940~1020万円、病院で950万円、日本の薬局で520万円、病院で580万円と推定されている。

 ちなみに、両国の大卒の平均年収は、米国530万円、日本610万円で、わが国では、従来から薬剤師よりも他学部出身の大卒者の方が年収が高い。

 これらの数字からは、「高い授業料に見合った待遇を望んでいるにもかかわらず、薬剤師の年収は米国の半分程度に過ぎない」という、悲しい現実がうかがい知れる。

 6年制薬剤師にふさわしい待遇を獲得するために、どのような施策が取られているのか。その一つに、日本薬剤師会と日本病院薬剤師会が連携し、国に対して国家公務員医療職俸給表の見直しを要望している。

 現行の俸給表では、「医師、歯科医師」と「看護師」がそれぞれ別枠になっているが、薬剤師は、放射線技師、臨床検査技師など他の医療従事者と同枠になっている。

 その結果、国家公務員の薬剤師の初任給は、高卒の準看護師のそれよりも低いという、摩訶不思議な現象を生んでいる。俸給表が様々な領域の薬剤師給与にも影響するため、今後の動向が注目されるところだ。

 一方、社会に訴求できる6年制薬剤師のメリットとは何か。第一に、薬剤師としての素養に加えて、基礎力としての実行力、高い知力、協調性を兼ね備えていることが挙げられる。

 実務実習で実社会に長期間触れることで、鍛え上げられたコミュニケーション能力も見逃せない。これらの特性を集約すれば、「医療人としての心構えを持った薬剤師」という一語に尽きるだろう。

 6年制薬剤師の特性を生かした業務拡大では、まず、薬局薬剤師の地域におけるチーム医療や生活習慣病対策への参画、健康相談等セルフメディケーションへの支援などが考えられる。

 さらに、「チーム医療の推進に関する検討会」報告書で示された薬剤師の業務例の中にも、そのヒントがたくさん詰まっている。

 薬剤師の業務拡大や待遇改善を実現するには、日薬や日病薬の強力なリーダーシップはもちろん、政治力が必要不可欠となるのはいうまでもない。あらゆる分野の薬剤師が、6年制薬剤師の就職に向けた基盤整備への取り組みに協力し、その成果が早急に現れることを期待したい。




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