中外製薬の2010年12月期中間決算(連結)は、抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」の売上減、マイルストーン収入減が影響し、減収減益となった。
売上高は、前年同期比4・9%減の1824億円。主力の癌領域は、薬価改定で市場拡大再算定を受けた転移性乳癌治療薬「ハーセプチン」が17・7%減の121億円となったが、血管新生阻害薬「アバスチン」が51・3%増の233億円、悪性リンパ腫治療薬「リツキサン」が6・2%増の103億円、オキサリプラチンとの併用療法(XEROX療法)が承認された抗癌剤「ゼローダ」が82・1%増の51億円と好調で、癌領域全体は11・8%増の646億円と二桁の伸びを示した。国内シェアも42・9%と初めて4割を突破した。
また、骨・関節領域では、抗ヒトIL‐6受容体モノクローナル抗体「アクテムラ」が65・7%増の58億円と順調に売上を伸ばした。一方、腎領域の遺伝子組み換えヒトエリスロポエチン製剤「エポジン」は、薬価改定と競争激化の影響を受け、8・7%減の190億円となった。
抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」は、新型インフルエンザの流行が早期に沈静化したため、52・8%減の120億円と大幅な売上減となったが、「タミフル」を除く売上高は、5・0%増の1686億円と増収を確保した。
利益面では、「タミフル」の売上減、マイルストーン収入などその他の営業収益減に加え、営業費、研究開発費の増加が響き、営業利益は25・8%減の276億円、純利益は37・6%減の164億円と二桁の減益となった。
通期も、「タミフル」の売上減などから、減収減益を計画している。