スイス・ロシュグループの米ジェネンテックは、米FDAの抗癌剤諮問委員会(ODAC)が、HER2陰性の進行性乳癌に対し、血管新生阻害剤「アバスチン」と抗癌剤「パクリタキセル」の併用療法について完全承認を否決したと発表した。現時点では委員会勧告がアバスチンの投与に影響しないものの、FDAは勧告を踏まえ、9月17日までに承認の可否について決定を下す予定にしている。
FDAは2008年2月に、米国における転移性乳癌の一次治療として、アバスチンとパクリタキセルの併用療法を迅速承認した。アバスチン併用群で有意な無増悪生存期間(PFS)が得られたグローバル第III相試験「E2100」の結果に基づき、迅速承認されたもので、ジェネンテックは09年11月、完全承認に向けてグローバル第III相試験「AVADO」「RIBBON1」の結果に基づき、FDAに生物製剤承認申請書を提出していた。
しかし、今回ODACは、これら3本のグローバル第III相試験の全データを検討した結果、進行性乳癌の一次治療としてのアバスチンとパクリタキセルの併用療法について、12対1で承認を否決した。現時点では、ODACの勧告がアバスチンの投与に影響することはないが、承認否決を勧告したODACの投票結果を受け、FDAは9月17日までに、アバスチンとパクリタキセルの併用療法について決定を下す予定だ。
一方、日本では昨年10月に、乳癌に対する効能追加申請を行っているが、中外製薬では「国内第II相試験で有意な無増悪生存期間の延長が得られている」として、当局と十分な議論を進めたいとの意向を示している。