厚生労働省の足立信也政務官は23日、同省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で公知申請の妥当性が認められた適応外薬等について、薬事・食品衛生審議会医薬品第1、2部会の事前評価を通過した場合には、正式な薬事承認を待たず、保険適用する新たな枠組みを創設する考えを示した。26日の中央社会保険医療協議会の審議を経て運用を開始する予定で、早ければ今月末の薬食審医薬品部会から適用する。政務三役会議の後、記者団に明らかにした。
足立氏は、新たな医薬品・医療機器開発の論点を、[1]世界標準だが日本で適応外・未承認となっているラグの解消[2]日本発で、初めて世界標準になり得る製品開発のスピードを上げる[3]世界で全く新しい製品を開発――の三つに整理。このうち、世界標準とのドラッグラグ解消策として、今回の対応を行う考えを説明。新制度が動き出せば、「(保険適用までの期間を)9カ月間短縮できる可能性が高くなる」と述べた。
公知申請された医薬品については、現在でも評価療養として保険と併用することが認められているが、新たな枠組みでは、薬剤費についても保険償還されることになる。基本的に適応外薬が対象となるため、成分そのものは既に薬価基準に収載されており、原則として薬価算定などの作業の必要がない。そのため、中医協では個別の保険適用に関する審議を行わず、事後報告する方向だ。
未承認・適応外薬検討会議では、学会や患者団体から要望のあった374品目を対象に国内導入の是非を検討。今月3日には、米・英・独・仏の4カ国で承認され、国内で適応外となっているもののうち、▽ワルファリンカリウム▽シクロホスファミド水和物▽カペシタビン▽ゲムシタビン塩酸塩▽ノギテカン--の5成分7件について、公知申請の妥当性報告書を取りまとめている。
当面は、これらが対象となるが、さらに今後、検討会議で公知申請が妥当と認める案件が出てくれば、迅速保険適用のルートに乗せることが可能になる。ただし、検討会議の判断を経ずに、メーカーが独自に公知申請を行う場合については、従来通り取り扱うものと見られる。