富士フイルムは、自家培養表皮等を販売する再生医療ベンチャー企業「ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング」(J-TEC)の第三者割当増資を引き受け、約40億円を出資すると発表した。資本提携によって、富士フイルムはJ-TECの発行株式の41%を保有する筆頭株主となる見込み。写真で培った高分子材料の「足場」技術に、J-TECの「細胞培養」技術を組み合わせることで、再生医療事業に本格進出する。
富士フイルムは昨年、「医薬品研究所」を新たに設立。写真で培った高分子材料、素材の成型技術などを応用し、リコンビナントペプチドを足場とする素材研究を進めてきた。
一方、J-TECは昨年1月、日本初の再生医療製品として、自家培養表皮「ジェイス」を発売した。ただ、長期的な事業見通しが不透明なことから、第三者割当による資金調達を決定。富士フイルムが約40億円の増資を引き受けることになった。
今回の出資により、富士フイルムはJ-TECの発行株式の41%を保有する筆頭株主となる見通し。既に富士フイルムグループの富山化学が、J-TECの大株主となっており、グループ全体では約46%の株式を保有することになる。
ライフサイエンス事業を成長分野と位置づける富士フイルムは、2008年3月に富山化学を買収し、医療用医薬品事業に参入。今年2月には、三菱商事、東邦ホールディングスと資本・業務提携を行い、「富士フイルムファーマ」を設立し、ジェネリック医薬品を含めた医薬品開発・販売に本格参入するなど、医薬品事業の拡大を進めてきた。今回、J-TECに出資し、新たに再生医療事業にも進出することで、ライフサイエンス事業のさらなる拡大を目指す方針だ。