厚生労働省は3日、医療扶助を受けて今年1月に精神科に通院した生活保護受給者のうち、1797人に向精神薬に絡む不適切な受診が認められたことを明らかにした。長妻昭厚労相は同日の閣議後会見で、「まだ精査中だが、今現在は犯罪につながるような情報は来ていない。同様の向精神薬を複数の医療機関から入手し、本来の必要量を超えており不適切」と述べた。
調査は、大阪市で営利目的で生活保護受給者が向精神薬を大量入手した事案が発生したことを受け、全国の類似ケースを把握する目的で実施。4万2197人の1月診療分レセプトの抽出調査で、746人が同一月に複数の医療機関から向精神薬の処方を受けていたことを、一次調査結果として7月末に公表していた。
今回、このうち精神科以外の通院患者を除いた2555人について、福祉事務所が医療機関の主治医などと協議し、処方内容や処方量を審査した結果を、二次調査として取りまとめた。
それによると、月の途中で転院して同種の薬剤を処方されたり、別の病気で医療機関を受診して効能の異なる薬剤を処方され、適切な受診だったと認められたのは758人で、疑い事例の29・7%だった。
残る70・3%の不適切受給者のうち、保護廃止等で「指導に至らず」が149人、福祉事務所の指導で医療機関を一本化するなど「改善済」が721人、「指導中」が927人となっている。
また、通院医療機関数は、2カ所が2129人で疑義事例の83・3%を占めるが、3カ所が272人、4カ所以上も154人いた。
厚労省は、「指導中」事例への対応を続けるよう福祉事務所に依頼すると共に、さらなる点検の徹底を地方自治体に要請。また、今後は電子レセプトを活用して個々の受給者の受診状況を把握し、不適切事例の早期発見と適正受診の指導に努めることとしている。