厚生労働省が専門家を集め、10日に開いた「多剤耐性菌の動向把握に関する意見交換会」で、国立国際医療研究センター研究所の切替照雄氏は、200床以上の病院を対象としたアンケート結果を報告した。それによると、2007年度から09年度までに、全国の92施設で多剤耐性アシネトバクターが検出されていたことが分かった。
調査は、国立感染症研究所の荒川宜親氏を主任研究員とする厚労省研究班が、今年3~4月に実施したもので、771施設から回答を得た。
調査結果によると、07年度に51人(84検体)だった多剤耐性アシネトバクターの発生は、08年度に81人(143検体)、09年度には97人(331検体)に増加している。同菌が検出された施設数は、07年度が39施設で回答施設の5・1%、08年度が37施設で4・8%、09年度が49施設で6・4%となっており、3年間で11・9%の施設で発生していた。
また、アシネトバクター属菌が分離された臨床材料は、呼吸器系が67・0%で最も多く、尿路系が9・9%、便が3・9%、血液が5・6%だった。