
日本最大級のバイオ産業イベントである「バイオジャパン2010」が今日29日に開幕し、10月1日まで横浜市のパシフィコ横浜で開かれる。「バイオ産業新生の時」をテーマに、世界25カ国から400社を超える大手企業、ベンチャー、バイオクラスターが参加し、新技術や新製品を出展。創薬、医療機器等に関する44のセミナーに加え、展示会場では全国の有力大学・研究機関が100を超えるセッションで、最新の研究成果を発表し、次世代の成長産業と位置づけられるバイオの活性化に向け、方向性が議論される。
開会式で、主催者を代表してあいさつした組織委員会会長の原田宏氏は、「医薬ではバイオ医薬品が主流になり、医療機器でも再生医療、DDSの応用が活発化している」とした上で、「わが国の新しい産業発展に、バイオは欠かせない技術」と強調。「イベントを通じて、共同研究や産学連携が活性化し、バイオの産業応用が推進されるよう期待したい」と語った。
来賓として出席した経済産業大臣政務官の中山義活氏は、「高齢化社会の日本で、健康を産業として考え、イノベーションを起こして日本を変えていくためにも、迫力あるバイオの世界を作っていきたい」と、政府として支援する姿勢をアピール。「日本経済にはまだ余力がある。世界に飛び出して、新しい医薬品、医療機器を届けてほしい」とエールを送った。
29日に行われた基調講演では、医学研究等を支援する英国の公益団体「ウェルカム・トラスト」のウィリアム・キャステル会長が、「過去50年間で遺伝子工学等のイノベーションが長寿にもたらした恩恵は大きい」としながらも、「ヘルスケア領域の経済モデルは持続可能性を持っていない」と、21世紀の課題を指摘した。
その上で、世界的な栄養不良、小児の下痢がアフリカ、インドに集中しているのに対し、これら地域に十分な医師と科学研究が届いていないとし、インフラの重要性を強調。「地球温暖化によって、マラリアやデング熱など、問題のグローバル化が進む中、人類の健康と地球の健康を“ワンヘルス”と捉え、この概念を世界に広げて、持続発展が可能な世界にしていかなければならない」と訴えた。
バイオジャパンは、バイオインダストリー協会など7団体で構成する組織委員会と日経BP社が主催。昨年は約2万4000人の来場者があった。