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在宅医療、APもとに積極対応を

2010年10月29日 (金)

 薬剤師の在宅(居宅)への訪問回数は、年間延べ200万回に達するとされる。保険薬局数が5万3600軒ということなので、1軒当たり年37回、月に3回程度訪問している計算だ。

 ただ、実態としては一部の熱心な薬局や、事業の柱と捉えるチェーン薬局が、積極的にその“任”を担っているが、業務内容は、様々といったところだ。

 “在宅”業務への参入ポイントとして、コストパフォーマンスの観点といった薬局側の事情、あるいは、一部在宅で“有名”薬局のみが注目されているが、「やる気」があっても、主治医とのコンタクト欠如、地域医療体制での存在感の希薄さなどを背景に、空回りしている例もあるようだ。訪問に積極的な医療機関の情報不足も含め、連携体制の不備など、在宅医療をめぐる環境の問題もある。

 医療・介護両報酬の同時改定を2012年度に控え、日本薬剤師会はこのほど、「在宅療養推進アクションプラン」を策定。今年度から来年度にかけ、地域の在宅療養連携の仕組みに、会員薬局が参画するための体制構築を支援することとしている。

 プランでは、[1]薬局・薬剤師のスキルアップ[2]地域支部における訪問薬剤管理指導業務の応需体制の整備[3]地域連携の促進(薬局機能・業務の理解促進)――を三つの柱として、推進することとしている。

 プラン推進に当たり、日薬では体調チェックフローチャートの改訂、在宅服薬支援マニュアルのDVD化とスキルアップのための材料づくりを進める。さらに、“訪問指導業務”の応需体制を把握するための薬局向け調査票、調査結果を反映する薬局リストのひな形も提供する。

 さらに、医師をはじめとする関係職種や、行政へのアプローチの手順書、その際に用いる説明資料まで用意する予定だ。

 全国的には神奈川県で、既に訪問薬剤管理指導業務応需薬局をリストアップし、各方面に情報提供しているほか、支部単位でも同様の試みが行われている。

 とはいえ、多くは未だに個々の薬局、薬剤師と個々の医師とのつながりが頼りというのが現状であり、組織的な取り組みの必要性が叫ばれ、今回に至った。

 遅ればせながらとの声が聞こえなくもないが、薬剤師団体の中心である日薬が音頭をとって、アクションプランを発表し、行動に出たことは、少なくとも「薬剤師は在宅医療を推進するぞ!!」との気概の表明といえよう。

 あるチェーン薬局の取材で、地域の医師と十数年来、連携体制を構築した事例がある。その薬局では医師から「薬のことは薬剤師さんに」と全面的な信頼を得て、個々の患者の状況に対応した処方変更提案や処方提案を積極的に行っている。しかし、経営面では厳しい状況にあるという。 一方、“指導料”は始めから度外視し、施設型で多くの患者に薬を届けることで、“訪問”が「大きな事業の柱」にまで成長したという事例もあるようで、実態は様々だ。

 プランでは、応需体制・状況の把握に向け実態調査も実施する。年間延べ200万回を超す訪問回数の「中身」が明らかになろう。

 せっかくの決心。「笛吹けど……」で終わることのなく、地域薬局の「やる気」が世間に見えるよう、現場・地域の対応にも期待したい。




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