第一三共の中山讓治社長は1日、都内で開いた決算説明会で、次期主力品と位置づける抗血小板剤「エフィエント」について、10月から米国におけるイーライリリーとの共同販促体制を、開業医から病院にシフトし、専門医に対する働きかけ強化を、開始したことを明らかにした。中山氏は、米国市場で伸び悩む「エフィエント」の現状について、「まだまだ満足していない」とし、「もう一度エフィエントの有用性を、専門医の方々に認識してもらうよう周知徹底していきたい」と語った。
「エフィエント」は、第一三共が大型化を期待する自社製品。1月にはFDAから販促資材の認可を取得。有効性を中心にプロモーション展開する方針を示していたが、イーライリリーの2010年上半期売上高では約5900万ドル、第一三共の第二四半期の共同販促収入は実績値で18億円にとどまった。
中山氏は「当初は、ファストトラック指定を期待していたが、FDAの承認と販促資材の認可が遅れたため、出遅れてしまった」とした上で、「処方せんの伸びから見ても、エフィエントの有用性がなかなか理解されていない」と要因を分析。専門医への周知徹底を図るため、10月からは、両社MRの共同販促体制を開業医から病院にシフト。今後、キーオピニオンリーダーの専門医をターゲットに、活動を強化していく方針だ。
同社は、10~12年度までの第二期中期経営計画で、「エフィエント」の売上高5億ドルを打ち出しているが、現状で目標達成は高いハードルと見られている。ただ、中山氏は「まだまだ満足していない」とテコ入れに意欲を示し、「5億ドルの中計目標は変更しない」とした。